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日記と短歌
by papiko
心配を君がしていてくれるから大丈夫だよ安心してて
 恋人とひさびさに吉祥寺へ。何度行っても、吉祥寺は魅力的な街だ。歩くたびに発見がある。今日は中道通りのほうへ向かってふらふら歩いている途中、面白い古本市場を見つけた。店頭には神保町の古本を思わせるような年期の入った専門書や雑誌が並び、奥の方ではなんと、本のたたき売りをしているのだった。「開口健の全集に、この画集もつけて、500円でどうだ!」なんて、まるで上野アメ横みたいにどんどん本の値段がかわって、お客さんのようも「もう一息!」などと、盛り上がっていた。すごい!参加する勇気はなかったけれど、おもしろかった。私がたたき売りに驚いているうちに、恋人はあやしい本を見つけて買っていた。彼はあやしい本を見つける天才である。
 大好きな中道通りは、歩いているだけでワクワクうっとり幸せな気持ちになった。物語にでてくるような、こじんまりとして個性豊かな専門店の数々。中に入らなくても、その佇まいを眺めているだけで、心の中が満ち足りてくる。カラフルで優しいフォルムの玩具屋さんや、異国の香りに満ちた布製品店や、花と蔓のアーチをくぐるお花屋さんや、昭和の駄菓子屋さんみたいな和風雑貨屋さんや、とにかく、五感の喜ぶものばかり。途中、お店とお店の間の細い路地に石畳が敷かれているところがあり、その先をのぞいてみたら、奥に古本屋さんを発見するという、「耳を澄ませば」みたいな出来事もあった(実際その石畳の路地を通って古本屋さんの前まで行ってみたが、あまりにもアーティスティックな青年が店番をしていたため、中には入れなかった)。
 今回もこの前吉祥寺にきた見つけたお気に入りのお店で、夏の涼しいワンピースを二着買った。このお店は、可愛いうえに大変安いのだ。最初、吉祥寺の物語チックな雰囲気に酔いすぎて、うっかりフリフリメルヘンなワンピースを手に取っていたら、「アルプスの少女ハイジか」「赤毛のアンだね」と次々恋人につっこまれて目を覚まし、2008年都内在住25歳が着るのにふさわしいものを無事選ぶことができた。
 井の頭公園のほうへも、少し行ってみた。六月の井の頭公園は、濃い緑にあふれていた。ここの広場もまた、行くたび楽しくなるところだ。楽器を演奏する人、絵を描く人、パフォーマンスする人、手作りの小物を売る人、池でアヒルのボートを漕ぐカップルや家族、ブランコをこぐ子供たち・・・人間の持ち得る自由と主張が、広々とした公園に散らばっていて、それを拾い上げる五感が喜び、元気がでてくる。私も自由に表現していいのだ!と、創作意欲が湧いてくる。今日は、バイオリン弾きの人がとりわけ素敵だった。井の頭公園にぴったりの、のびのびのどかな音色。音楽は芸術よりも香水に似ていると、何かの本にあったが、確かに、音楽は匂いのように全体を包み込み、雰囲気をつくりあげる。

 帰宅してテレビをつけてから秋葉原の凄惨な事件を知り、呆然としているところへ、母から電話がかかってきた。秋葉原の事件で、私が万が一巻き込まれてはいないかと、心配だったという。母からはお昼ごろにも一度電話がかかってきていて、そのときはすぐに気付かず出られなかったのだが、まさかそんな事件が起こっているとは知らず、うちへ帰ってから折り返せばいいかぁぐらいに思っていた。なかなか電話がかかってこないから、さぞかし心配したことだろう。申し訳ないことをした。
 東京で大きな事件が起こると、必ず母から安否確認の電話がかかってきて、そのたび、出来るかぎりの用心をして生きていかなければという緊張感と、人の命を奪う人間への恐怖と憎悪が、強まる。なんて怖い事件だろう。この日記に、あまり、時事ニュースのことなどは、書きたくはないけれど、これはあまりにも、書かずにいられなかった。犯人は25歳。同世代だ。14歳ぐらいのころから、同世代の人たちが、世間を震撼させる事件を幾度も起こしている。世代という枠でくくってきめつけてはいけないけれど、しかし、関係がないとは、いえないのだろう。どういう世代なのだろう、私たち。どういうものを背負い、見せられ、強いられ、諦めた世代なんだろう。同じ年齢だけ生きた人が、どうしてこんなひどい事件を起こしてしまえるのだろう。どうして抑えられないのだろう。

***

 文学全集を読んでぐっときた文章を抜き出そう月間。だけど、今日はお出かけで読めなかったから、愛する太宰治作品より。ここだけ抜き出してもわからない気もするけど、「春の盗賊」という短編のなかで一番好きな一文なのだ。このお話は、文体も内容もこてこての太宰治節で、大好き。

次に物語る一篇も、これはフィクションである。私は、昨夜どろぼうに見舞われた。そうして、それは嘘であります。全部、嘘であります。そう断らなければならぬ私のばかばかしさ。ひとりで、くすくす笑っちゃった。』
by papiko-gokko | 2008-06-08 22:58 | Diary | Comments(0)
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