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日記と短歌
by papiko
君がいて初めて光る物事を知りすぎたから離れられない
 こんなにぼんやり生きている私は、誰から何を指摘されても、目からウロコ状態になってしまうので、ウロコを落としたくないときは、あまり目をひらかないよう注意しないといけない。目からウロコを落としすぎると、魚にならなければならないという強迫観念に駆られて、心ばかりがむしゃらになり、身動きが取れなくなる。

 通勤時間が楽しい。新鮮だ。
 朝の電車には、それぞれの行き先に相応しい髪型と服装で小奇麗に身なりを整えた人たちが、しゃんと自分のカバンを抱えて乗っている。駅に到着してホームへ降りたとたん、ザッザカザッザカ、スーツの大人にどんどん追い越されて、小走りにならないと付いていけない。自分は歩くのが遅いのだということに、今更気付いたりする。ザッザカザッザカすれ違う人々から香ってくる、女の人の香水と、男の人の整髪料の匂い。自分の無臭が気にかかる。ザッザカザッザカ、一斉に改札に向かっていた大群が、改札を抜けたとたん、磁石から解放された蹉跌みたいに散り散りばらばら離れていって、私は自分の歩幅を取り戻しながら、駅をでる。朝の駅前通りはまだほとんどシャッターが閉まっていて、コンビニだけが昨日の帰りと同じテンション。駅のすぐそばのコンビニで野菜ジュースを買ったら、店員さんが「ありがとうございました、いってらっしゃいませ」と言ってくれて、なんだかくすぐったくなった。家じゃない場所で、いってらっしゃいと言われると、背筋がのびる。
 帰りの電車は、朝に較べて空気がくだけている。服装も年齢層もばらばら。心なしか電車の速度もゆっくりみたいに感じる。駅から自宅へ向かう道は、ほとんどまっすぐなのにも関わらず、ちっとも退屈しない。商店街というほどでもない、自宅と自宅のあいだにぽつりぽつりと存在している、昔ながらのお店が楽しい。靴屋、服屋、魚屋、やおや、金物屋、整骨院、薬屋、クリーニング店、酒屋・・・生活に必要な専門店はひとしきり揃っている。定時に帰れた日には、ちょうど居酒屋さんが開き始めているころで、あぁお酒のみたいなーと思いながら通り過ぎる。傘屋さんなんてのもあって、お店じゅうに傘ばかりがずらぁっとおいてあり、壁全体色とりどりで、ちょっとしたアートだ。あの何百本もの傘のなかから、自分のお気に入りを見つけ出せたら、さぞかし大事にしたくなることだろう。
 街は小まめに表情を変えながら、毎日リズムを保ち続ける。自然のつくりだす壮大な土地の表情よりも、今はごみごみした東京の、大勢の人々の生活が集まり絡まりあって作り出す街の小まめな表情というものに、惹かれてやまない。夕日が綺麗と思うのも、朝日を美しいと思うのも、その光に照らされながら育まれていく、人間の生活があるから。いくら景色が美しくても、そこに人の気配がなければ、それはもう、ただ、宇宙と同じ。
by papiko-gokko | 2007-10-03 22:32 | Diary | Comments(0)
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