人気ブログランキング |
日記と短歌
by papiko
短歌801~900(2009年)
朝焼けの電車でおいで眠い目に見たことも無い緑をあげる


風向きが悪かったんだ一度きり横切ったのに髪を気にした


誰の目が僕を減点するだろう今日は何処から失格だろう


臆病と思い上がりに挟まれて二〇センチの距離を維持する


なにもかも駄目になったら行くからね僕の天使は屋上にいる


まだなにも聞かないでいていつもより時間をかけてうがいをさせて


やがて止む雨を見ている軒下でとぎれとぎれの会話が続く


なぞられるほど球体に近づいて転がりだしてしまう 砕いて


思い出すことがたくさんありすぎて夏の終わりの日なたスキップ


君と僕だけが知り得る学問の研究室を手に入れた夏


優しさが複雑にする関係のみんなで吊るす爆破スイッチ


上の空いつもどこかに帰りたい私を射抜く矢印は時


パイプ椅子音もたてずに折りたたむように日暮れの家路を辿る


見たりない話し足りない君といる限り嫌いな「おやすみなさい」


すべてから遠ざかりたい足音を響かせながら泳ぐ地下街


優しさで計算された去り際の余韻のしっぽ踏んづけてやる


青空の下の沈黙きみの手を濡らし始めるソフトクリーム


割増の深夜タクシー メーターが恐くなくなるまで走ってよ


全力で君の仕草を駆け抜ける校庭一周分の欲望


さっき来たイチョウ並木を引きかえす 結末をまだ用意できない


時間軸ぐんとしならせ高跳びで昨日の背中蹴飛ばしにゆく


楽しくて全部そろっているけれど どれもこれもが前ほどじゃない


謎めいた君の机の引出しに滑り込ませるため書く手紙


戦いを挑んでみては思い知る敗北感に恋が紛れる


東京で愛され葱のみじん切り上達しちゃったから帰れない


増えていく電化製品常備薬そろいの食器ふたりの暮らし


夕暮れのひとちがい皆それぞれに遠い誰かの面影を持つ


眠れない夜はウサギのいる絵本はしゃいだ夜は小熊の絵本


静けさは誰もが眠るからじゃなく眠れぬ人がそれを聞くから


パレットに出しすぎたアオ使い切るただそのために目指す海岸


強く強く風吹く時刻きみの名を裂いてさらわれたくて叫んだ


がんばった昨日もなにもない今日もメダルのような夕日がひとつ


行き先と帰る時間を伝えたい人を探しに出かけてきます


板チョコを通勤バックに潜ませて自由を手放さないおまじない


春を背に芽生えた君の屈折をゆるく肯定する坂の道


安全な平均台に腰かけて数えるものはいくらでもある


似合う色よりも互いの好きな色みつかりそうな距離の日曜


手を振って振ったその手でしがみつく思い出ぼくを裏切らぬもの


取り返しつかない夜の真ん中でふたり冴え冴え星空談話


誰に何を伝えようとも思わない 儀式のようにピクルスを抜く


「ありがとう」より的確な挨拶を探せばそれは「大好き」になる


君だけはこれから先も旧姓で呼んでください封印として


はじめから違うふたりの大切をひとつの箱に並べて仕舞う


少しだけ好きだったかもしれなくて冷やかしすぎてしまう おめでとう


くすくすと僕の身体をちらかして愛の意味だけきれいに残す


純白の前夜きれいになったねと君に言わせてから巣立ちたい


封筒に郵便切手をはるまでは私に届きつづける手紙


会いたいねまた会いたいねいつまでも会いたいねって言い合いたいね


コンビニでビニール傘を買って差す雨の日はじまらない物語


さよならの準備段階夕暮れの電信柱かぞえて歩く


探しものなら降りしきる雨のなか失くしたものはひだまりのなか


先生の三角定規追いかけて視線の交わる点を求めよ


握力も靴のサイズも平熱も知っているのに聞けないメアド


生きるのに僕は夢中で無気力で待ちくたびれて幻を見る


追憶と理想を胸にカウボーイ張りぼて荒野はいつも夕暮れ


正当な前売り券を持つ人に嫉妬しながら闇を横切る


泣いた眼に流れる雲が新しい なんてことない一日だった


手を振って一人乗りこむタクシーの骨格を這うAMラジオ


懐かしいような夕焼け毎日は単調だけど単純じゃない


最高の角度で君に見せたくて今日の陽射しを使い果たした


ケンカするまえに笑顔で火にかけたシチューが煮えていい匂いだね


憧れを夏に焼かれて僕達は過ぎた祭りのうちわで扇ぐ


あいまいに君が示したさよならの型をとるため涙ながすの


向かい合うほどに言葉は愛よりも卑怯な嘘とたやすく馴染む


恥じらいと不誠実からカタカナで送る『ゴメンネ』 許さないでね


作戦は実行寸前までいってその横顔でUターンする


ふわふわと甘いあいづち打つあの子だまらせたくてムカデの話


街じゅうに春がきている大げさなあくびの後にため息が出る


見つけたらメールください懐かしい丘の向こうに新しい虹


MPがいつも足りない僕たちの遊びはやがて祈りに変わる


月曜日あらゆる菓子パンにも飽きて定期更新おはよう諸君


学ランの似合った君の面影が無精髭から蝕まれゆく


笑うのも泣くのもなにか違う気がして口ずさむ旅立ちの歌


厳密に守らなければ死ぬのなら転ばないのに日々は優しい


日常に私ひとりの哲学を見出すために買ったサボテン


作戦は実行寸前までいってその横顔でUターンする


美しく割れて散らばり割れる日をめがけて生きた百円グラス


満開の桜並木で金髪の若者が撮るはんぱねえ春


渾身の桜吹雪が目覚めない君の窓にも吹きこむだろう


のびていく影を見つめて歩こうよ打ち明けながら川沿いの道


あの町にセブンイレブンできたこと伝えそびれて半月が経つ


背中から汗ばむ朝は暑がりの君が脱ぎたい服を着せたい


「ごめん」ではなく「やめよう」と力なく目を背けあういつもの部屋で


黒鉛の匂いが染みたノートには君の視界が広がっている


人生の意味など熱く語ろうと明日は雨降り傘さす猫背


電話して笑って切って静まってかける前より寂しくなった


大げさに生きてわめいて笑われて誰か振り向くならそれでいい


冒険の続きはあした安心を補充するため家へ帰ろう


いつのまに大人だけれど夕焼けが淋しいみんないつかの子供


吹きぬける風に空耳きみの声まだひらがなで呼び合ったころ


庭先の紫陽花なぜかこの家をよく知っているような気がする


ゆるやかな吐き気を抱いて散らかった早朝の街だれの太陽


ため息と愛想笑いと生あくび量産しても平和が好きさ


目立つでも役に立つでもなく続く一日いくつ決め事まもる


君のこと好きでいるのが好きだからデートコースは何処だっていい


淡々とやりすごせない打ち消した熱が湿った窓枠を這う


水彩の絵ハガキよりも近くまで来ているんだと電話がほしい


お別れに君の口ぐせもらいます他には何も盗めなかった


激安の夕暮れスーパーマーケット青が短い横断歩道
by papiko-gokko | 2001-01-01 23:18 | 短歌まとめ | Comments(0)
名前
URL
画像認証
削除用パスワード
<< 短歌901~1000(2009... 短歌701~800(2007年... >>


検索

カテゴリ
このブログについて
Diary
月齢ごとの成長記録(次女)
月齢ごとの成長記録(長女)
幼稚園生活(長女)
手作り
短歌まとめ

以前の記事
2018年 03月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
2005年 02月
2005年 01月
2004年 12月
2004年 11月
2004年 10月
2004年 09月
2004年 08月
2004年 07月
2004年 06月
2004年 05月
2004年 04月
2004年 03月
2004年 02月
2004年 01月
2001年 01月