日記と短歌
by papiko
長女、入園
 まだ少し丈の長い真新しい制服を着て、長女が幼稚園に通い始めました。
 入園式の前日になっても、わが子が幼稚園に通い始めるという実感が湧いてこなくて、パラレルワールドの出来事のようで、思わず夫とふたりで、長女の赤ちゃんのころや、2、3歳のころの映像を見たりしました。あんなおしゃべりの長女にもしゃべらないころがあったんだなぁとか、こんなに髪の毛少なかったんだなぁとか、思うことはいろいろあったけれど、それでもやっぱり、実感は湧いてきませんでした。

 そんなふうに、ふわふわした気持ちのまま迎えた入園式当日。長女は「今日はどんな一日になるんだろう!」と言って胸を高鳴らせながら朝ご飯を食べ、制服を着せるとますますテンションが上がって、「もう幼稚園!今日から幼稚園!」と、部屋を跳び回り、その後ろを次女が、通園鞄を持って追いかけていました。
 式に出かけるまえに、家の近くで記念撮影をしました。雨上がりのベンチにシートを敷いて腰掛けた、少し緊張気味の面持ちの長女が数枚と、その横に夫や私が座った写真、そのそばをわけも分からず歩き回るぶれた次女の写真を撮りました。
 幼稚園につくとすぐ、長女は名札とお花を胸につけてもらって何組になったのかを教わり、名札を着けてくれた先生が「さあ、これで、長女ちゃんは○○幼稚園の子になりましたよ」と言ってくださって、まるで呪文にかかったように、そのときから本当に、私の子が正真正銘の幼稚園児になった気がしました。
 長女にはその日からちゃんと長女の名前が書かれた靴箱があり、教室の中にはちゃんと長女の名前の書かれたロッカーがありました。長女はもう、この幼稚園のお客様ではなくなったのです。教室のロッカーに鞄や帽子などの持ち物を入れてから、案内に従って、入園式の行われるお遊戯室へ行き、席に着いたり、写真撮影などしているうちに、入園式が始まりました。そこからはもう、ハラハラの連続でした.長女ときたら、目立つことをするのです。式の途中で舞台に上がったり(ほかにも何人か上がっていましたが、長女もしっかりその一人でした・・・)、お母さんと離れて座っているのが辛くて泣いている新入園児のところへ歩いて行って頭をなでてみたり、どう見ても目立ってしまっていました。そんななか、年長の子たちが、「わからないことがあったら、なんでもきいてね、教えてあげるからねえ」というような内容の歌を歌ってくれて、年長さんてなんてしっかりしていて優しいんだろう!と、涙ぐみました。長女も来年の今頃には、そんな歌をしっかり歌える年長さんに、なれているのだろうか。式の間ずっと、微妙にぐずり気味だった次女も、年長さんのお歌のあいだは、じっと静かに聞いていました。
 ハラハラしっぱなしの式が終わったあとは、教室で担任の先生のお話を聞きました。そのときにもまた長女は、何を思ったのかいきなり匍匐前進を始めて先生を困らせ悪目立ちし、最後に先生がみんなに向かってさよならの挨拶をすると、長女は先生に向かって「じゃ、また明日もくるからね!」と、元気いっぱい気さくに言い放ったのでした。入園式当日からこんなにそこまで目立つだなんて、これから一体どうなるんだろうと、自由すぎる長女に頭がくらくらしましたが、しかし、端から見てどんなに突拍子がないように見えても、長女の行動にはいつも何かしら理由があるのです。舞台に立ったのも、匍匐前進も、きっとただの衝動ではなく、なにかしら長女なりの考えがあってのことで、あとから聞いたら舞台に上がったのは、私と夫に、長女の姿がよく見えないと思ったからだと言っていました。まだ長女は集団行動を知らなくて、入園式の場でも、パパとお母さんと自分という構図で世界を捉えてしまった結果、そういう目立つ行動に出てしまったのだと思います。それは間違った行動なのだということは、これからの幼稚園生活で、学んでくれることでしょう。長女なら学べるだろうと信じます。
 幼稚園を出ると、私も夫も、それから長女もどっと疲れが出たようで、長女は夫の抱っこで家まで帰りました。萎縮はしていなかったけれど、やっぱり彼女なりに、緊張はしていたんだろうな。

 そして、入園式の翌日からは、いよいよ通園が始まりました。次女を抱っこ紐で抱っこして、長女と手をつないで幼稚園まで行き、教室の前まで一緒に付き添って、靴を上履きに履き替えたら、長女はすんなり私から離れて、教室に入っていきました。私のそばに立っていたお母さんが、長女と同じ教室に入っていったお子さんに向かって、「先生の言うことよく聞いてねー!楽しんでねー!」と明るく大きな声で言っていて、私もまったく同じことを、長女に伝えたい気持ちだったのだけれど、教室からじっとこちらを見ている長女と目が合ったら、とたんに喉が詰まって、言葉がでなくて、笑って手を振るのが精一杯でした。私のそばにいたお母さんの声が、長女にも届いていればいいなと思いました。私が手を振ったのを見届けると、長女はふっと子どもたちのなかに混じっていき、見えなくなりました。悲しそうなわけでも、辛そうなわけでもない、ただ、今日からそうなんだなと納得しているような表情でした。だいたいいつも、長女はそうです。出産のときも、長女は泣かず、面会に来るといつも納得しているような顔をして帰っていました。
 幼稚園の門を出て、歩き出すと、とたんに、猛烈に寂しくて、さみしい!と叫びそうなほど寂しくて、涙が出てきて、次女の頭に顔をこすりつけながら歩きました。家に帰ると、リビングに座っていた大きいヒットくん人形と目が合って、ついに幼稚園いってしまったねえと言っているような寂しげな顔に見えて、また涙が出てきました。長女が幼稚園に行き始めたら、長女がいるとできないことをいろいろやろうと思っていたのに、いざその時がくると、長女がいないとできないことばかりが思い浮かんで、長女がいるとできないことなんて、何もないじゃないかと思えてくるのでした。
 たかが幼稚園で、大げさですが、この喪失感にも似た寂しさは、ただ単に、いまここに長女がいないという寂しさだけではなく、これまでどこにも属さず何の肩書きも持たず、ただただ私の娘であった長女が、とうとう、幼稚園という世界の一員になり、私と夫だけのものではなくなったのだという寂しさなのだと思います。その寂しさは、そのまま喜びでもあるのだけれど、今日はどうしても寂しさのほうが勝っていて、まだしばらくは午前中だけだから離れているのはたった3時間ほどなのに、その3時間が、とても長く感じました。楽しんでいるだろうか、寒くないだろうか、暑くないだろうか、着替え袋を入れた場所が分かっただろうかと、心配なことがいくらでも浮かんできて、時間の流れをますます遅くしました。
 。3時間のあいだ、私は洗濯を干したり部屋の掃除をしたり本棚の整理をしたりして、そのそばで次女は、いつも長女になかなか貸してもらえない、ぽぽちゃん人形で遊んだり、ヒットくんに抱きついたり、思う存分絵本を出して、私に読んでくれとせがんだりして、5冊くらい読んでやりました。最初の1時間はのびのびと遊んでいた次女でしたが、だんだんと退屈になってきたのか、抱っこしていなければぐずるようになりました。寂しさを感じていたのかどうかはよく分かりませんが、違和感はあったのでしょう。
 11時半すぎに長女を迎えに行くと、出てくるなり長女はトイレに行くと言い出し、これから帰りの会というのに、私と長女だけトイレに行って、帰りの会に出られませんでした。トイレから戻ってくると、先生が帰りの会で伝えたことを伝えに来てくださって、そのあと、「長女ちゃんは、やりたいことがいっぱいいっぱいあるみたいで」と、にこにこ教えてくださりました。それだけでもう、長女がどういうことを言ったのか、だいたい想像がつきました。
 長女に話を聞くと、帰り道では、「あんまり遊べなかったよ。長女が歌いたいっていった歌、歌わせてもらえなかったし、ブロックもできなかったし、お絵かきもできなかったし・・・」と、不満を口にしていた長女でしたが、お昼ご飯を食べるころには機嫌が直ったようで、楽しかったお話をたくさん聞かせてくれました。チューリップのうたを歌ったこと、みんなでうがいをしたこと、痛いことする子もいたこと、お友だちみんなでトイレにいったこと、などなど、刺激がいっぱいの楽しい一日だったようでした。話を聞くと、どうやら先生に、あれがしたいこれがしたいと、自分の要望を率直に伝えて、困らせたのだろうなぁ。良くも悪くも、長女は自分のやりたいこと、してみたいことが常に明確にある子で、それに向かってまっすぐに行動しようとするのです。しかしそれでは世の中渡っていけないのだよということを、幼稚園はしっかり教えてくれることでしょう。自分のやりたいことだけを追求することが、どうして自分勝手な行動として批判されるのかということは、やはり家庭より集団のほうが、より実感として学ぶことができるのだろうと思います。
 とにかくそんなふうに、初日は過ぎたようでした。 おおむね、楽しかったみたいです。まだまだ、始まったばかりの園生活。これから、家庭訪問や参観日など、イベントが目白押しです。どうなることか。とにかく、楽しく通ってくれれば、それ以上のことはありません。明日も楽しめますように。長女の好きなことが、一つでも多くできますように。
d0038776_23493744.jpg
 最後に、この絵は、入園式から帰ったあと、長女が描いたもの。折り紙の桜も散って、みんな嬉しそう。入園、ばんざい。幼稚園の子になれて、ばんざい。
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by papiko-gokko | 2015-04-15 23:50 | 幼稚園生活(長女) | Comments(0)
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