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日記と短歌
by papiko
そびえ立つゴミ処理場の煙突が私の仰ぐ空を吸い込む
 今日は妊婦検診の日。24週に入っている今回は、中期検診ということで、エコーや尿検査、血圧・体重測定などいつもの検診に加えて、血液検査もありました。今回の血液検査では血糖値もみるらしく、「そのために今日はまず、採血の一時間前に甘い飲みものを飲んで頂きます」と説明を受け、その飲みものをもらいに、産婦人科とは別の階にある、採血室というところへ移動しました。
 採血の受付を済ませ、名前を呼ばれるまでしばらく待っていた採血室前の廊下には、外来の患者さんだけでなく、病院のパジャマを着た入院患者さんも何人かおられ、救急治療室が近いせいか、時たま担架にのった患者さんもそばを通ったりして、産婦人科とは全く違う、総合病院独特の雰囲気に飲まれ、気持ちが重く苦しくなりました。ドラマの患者さんは、どんなにメイクで顔色を悪くしていても、やっぱり、本当に病院にいる患者さんとは、全然ちがいます。ドラマの患者さんはどこか弱々しい感じに描かれていることが多いけれど、本当の入院患者さんは、病院の外ですれ違う人の何倍も、立ち昇る生命力を感じて、同じエレベーターに乗ったりすると、圧倒されます。
 パジャマ姿の人をみていると、子供のころに自分が入院したときの記憶も、蘇ってきました。同じ病室にいた小さな子の泣き声に怯えたこと、消灯時間の寂しさ、たまに連れて行ってもらえた売店がものすごく華やかで明るい場所に思えていたこと、お見舞いに来てくれた家族と親せきにベッドを囲まれ、嬉しいはずなのになぜだか少し苛立って、「カーテン閉めてよ」と冷たい口調で言ってしまい悲しくなったこと、退院の日、パジャマから洋服に、スリッパから靴に履き替えた時の嬉しさと後ろめたさ、入院病棟を後にし、外来受付のある1Fでエレベーターが開いた時にみた、パジャマじゃない人ばかりいる世界の騒がしさと明るさ。家に帰ると妹がいて、なんだかわからないけど楽しくて可笑しくて、笑えば傷が痛むのに、それでもケラケラ、笑いが止まらなかったこと。そんなことを思い出しながら、今パジャマを着ている人たちがみんなみんな、元気になって洋服を着て家に帰ってケラケラ笑えたらいいと、無責任で浅はかな考えだとわかっていながら、思わずにはいられませんでした。
 数分してから名前を呼ばれ、採血室にはいると、快活そうな女医さんが「はいこちらへどうぞ」と、丸椅子を指差しました。椅子の前のテーブルには、採血室なだけあって採血の準備がビシッと整えられており、一時間後にはここで採血するのかと思うと、それだけで緊張が走りました。なにやら医学的っぽい名前のラベルが貼られたガラスビンから透明の飲みものを大きな紙コップにそそいで手渡され、美味しくなかったらどうしよう・・・と思いながら飲んでみると、それは普通の甘いサイダーでした。甘い飲みものというから、子供のころの風邪薬みたいなシロップっぽいものかと思っていたので、驚きました。ひさびさのサイダー、美味しかったです。
 サイダーを飲み終わると、女医さんから60分後にセットされたアラームを渡され、「首にかけておいて、これが鳴ったらすぐ採血をしにきてまたここへください。それまで、飲んだり食べたりしないでください。」と、言われました。説明を受けている途中、女医さんが別の人から話しかけられて一度説明が中断し、「・・・あら、今どこまで説明したっけ、別のこと話しかけられちゃうと、わかんなくなるのよねえごめんなさいね」と、心から楽しそうに体をそらせて明るく笑い、それで私の緊張も少し解け、待合室の雰囲気に飲まれてしぼんでいた心も、元気づけられました。他の場所で患者さんと話している女医さんや看護師さんの様子を見ていても思いますが、病院で働く人って、強くて優しくて明るくて、ちょっと笑っただけで、元気をもらえてしまいます。病院で人を元気にするのは、医学の知識だけじゃないんだなぁ。採血室のお医者さんなんて、次から次へと患者さんがきて、次から次へと注射やら薬やらして、大変だろうに、それなのにあんなふうに楽しく笑えるって、どこからそんなパワーが生まれてくるんだろう。すごい!
 アラームを首にさげ、再び産婦人科に戻ると、そこは採血室とはやはり別世界で、壁も照明も椅子も、どこかふわっとして感じるのでした。戻ってまもなく助産師さんに呼ばれ、約10分ぐらい、お話を聞いたり、質問をしたりする時間が設けられました。心配なことはありませんか?と質問をされ、普段感じている心配ごとを口にしたら、もうそれだけで、それほど心配じゃないことになるのから不思議です。すぐ近くに新生児室があるのか、壁の向こうからは、生まれたばかりの赤ちゃん達の泣き声が聞こえてきて、総合病院って、ありとあらゆる状況の命がこれでもかってほど存在していて、本当にすごい場所だ・・・と、くらくらしました。
 助産師さんとのお話が終わり、待合室で夫も私もそれぞれの端末で文章を打つことに熱中していたら、あっという間に1時間が立ち、アラームがなって、また採血室へ行きました。今度は廊下で待つことなく、すぐ採血室に呼ばれて、甘い飲みものを手渡してくれた女医さんが、てきぱきと採血の準備をしていました。目の前の机には、サイダーを飲んだときから用意されていた採血用具に加え5つの試験管が置かれ、それらすべてに私の名前ラベルが貼られていて、これからこんなにも血をとられるのか・・・と、怖気づいているうちに、アルコールを塗られ、ちょっとちくっとしますよと言われ、あぁちょっとちくっとした!と思っているうちに、私の血が次々と試験管に閉じ込められ、あっという間に終わりました。とても上手だったみたいで、最初ちょっとちくっとした以外は、少しも痛くありませんでした。
 採血を終えてまた産婦人科に戻ったら、今度はようやく、エコー室に呼ばれました。待ちに待ったエコー室です。これだけは、楽しくできる検査です。エコーの前に測られた腹囲は、72センチにまでなっていました。8月は63センチ、9月は67センチ、どんどん大きくなっています。エコーに映し出されたお腹の子は、退屈そうにもよもよと手足を動かしていました。足の形がすっかり人間のそれになっていて、こんな立派な足で私のお腹を蹴っているなんて、よく皮膚がやぶれないもんだと驚きました。正面を向いている写真は、相変わらず不敵な笑みを浮かべた宇宙人っぽい顔ですが、少し愛矯がでてきたような、背骨もしっかりあったし、心臓も大きくなって、四つの部屋に分かれているのが見えました。妊娠の分かった6月初めころなんて、まだ小さくてエコーに写らないぐらいだったのに、細胞分裂のスピードって、わけがわからない!
 エコーのあとは、内診台で少し診察をしたあと、先生と軽くお話をしました。次回は3週間後です。これまでは4週間ごとでしたが、これからだんだんと診察の感覚が短くなってくるそうです。そうしてそうこうしているうちに臨月になって、1月がきて、いよいよ出産なのだなぁ。10月に入ってから、一気に出産への緊張感や、会社を辞めることへの現実感が高まってきました。秋は急激なその涼しさと色合いの変化で、自分の立ち位置を、教えてくれる季節です。
 
 病院をでたあとは、近くの自然公園のベンチに腰掛けて、お弁当を食べました。夫の手作り弁当です。毎回診察が終わるのがお昼頃になるので、外で何か食べて帰ったり買って帰ったりしていたのですが、先日の吉祥寺での反省を生かし、今回は夫がお弁当を、私はおしぼりとして除菌ウェットティッシュを用意して行ったのでした。
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 きんもくせいの香り漂う秋風の中、木陰のベンチで食べるおにぎりは、最高に美味しかった! ベンチの上や足元を食べカスを狙ったアリが這っていて、ヒジキの豆を落としてしまったらハトも寄ってきて、ふてぶてしくちょっとつまんで去ったりして、子供のころいつも遠足に持っていた、「3丁目のタマ」のレジャーシートを思い出しました。あの上にもよく、アリが這っていたなぁ。お弁当のあとには、サイコロキャラメルとかアポロチョコとか、食べたなぁ。
 お弁当を食べたあとは、自然公園を少し散歩しました。広々とした原っぱでは、小さな子供を連れた親子が、あちこちでご飯を食べたり遊んでいたり、雑誌の表紙のように原っぱに並んで寝ころんで昼寝している若夫婦もいたりして、そのほのぼの平和な光景に、私も夫も、「いやぁー」「わー」と感嘆詞ばかり漏らして歩きました。私もお腹の子が生まれて歩けるようになったら、一緒にあの公演の原っぱへ、ピクニックに出かけよう。なかには、お母さんと子供の20人ぐらいでわいわいお弁当を食べている団体もありましたが、私はきっと、あのような感じの付き合いは無理だなぁ。あれを楽しめる自信はないなぁ。嗚呼、考えただけで、原っぱのイメージに影がさしてしまう・・・
 散歩をしたら疲れてしまい、アイスクリーム屋さんでカップアイスクリームを食べながら休憩し、夕食の買い物をしてから帰りました。帰ってからは、2時間くらい昼寝をしました。包丁で何かを刻む音で目を覚ましたら、夫がミネストローネをつくっていました。今日ちょうど助産師さんに「妊婦さんは30品目食べるのがよい」というような話を聞いたところで、ミネストローネはたくさんの栄養をとるのにもってこいのスープです。できたての熱々を、エコーでみた逞しい手足や背骨や心臓を思い浮かべながら、美味しく頂きました。
by papiko-gokko | 2010-10-07 22:43 | Diary | Comments(0)
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