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日記と短歌
by papiko
眩しさをさえぎるものは手のひらで十分だから雨雲よ去れ
 朝降っていた雨が昼まえにはあがり、私はずっと会社のなかにいて空を見上げられませんでしたが、関東でも皆既日食がそれなりに観測できたようです。「そんなら窓からでも、空を見上げてみればよかったなぁー」と、営業さんが残念がっていました。本当、郵便でも出しに行くふりをして、見上げてみればよかったなぁ。
 我が家では2週間も前から夫が「いや、皆既日食とかつまらないし」「だって、皆既日食って別に面白くないし」「ていうか、皆既日食ってまったく興味ないし」と、ぶつくさしきりに皆既日食皆既日食と言っていたので、ただ、へーひさしぶりなのかーという程度でほとんど聞き流していた私も、そのおかげで今日が皆既日食の日だということを忘れず意識して過ごすことができました。
 夫はひねくれものですが、それでいてなんだかんだで、世間のいろいろなことに食いつきます。食いついて咀嚼してから、こんな味付けは云々と、ひねくれたことを言います。私なんかは大抵、それが食いつけるものであるということにも気付かずにしらっと通り過ぎるので、ひねくれながらもひとまず食いつき体内に取り入れて考えるその姿勢を、尊敬します。次の皆既日食のころには子供とか孫とかいたりして、大賑わいで見られたら素敵だな。「お父さんたら前の皆既日食のとき、すごい食いつきだったんだよ」と、話して聞かせよう。
 
 大学の4年間で一体自分が何を学んだのか思い出したくなって、衝動的に、大学時代のノートや教科書が詰め込んである段ボールを、納戸からひっぱりだしてみました。一番奥のほうに押し込んであったそれは、しんなりとして埃をかぶっており、時の流れを感じさせるその雰囲気に、期待がふくらみました。
 しかし、ノートはどれもみごとなまでに私の期待を裏切り倒しました。まず字が汚くて読む気がしないし、罫線をぐらぐらはみだしているし、色分けもしていないし、とりあえず板書を写しただけという感じで、まるで要点がまとめられていません。そのうえ、どのページも眠気覚ましに書いたであろうどうでもいいラクガキが散らかっていて、そちらのほうにばかり目が行ってしまうのです。嗚呼そうだった、中高生のころも私はノートをとるのが下手で、自分のとったノートが試験勉強に役立ったためしがないのだった・・・段ボールをひっぱり出す前に、気付くべきでした。ノートの内容を読む気にはならなくても、めくるごとにその日受けた授業の様子やそこで思ったことなどはうすぼんやりと思いだすことができて、もっとノートにとることがいくらでもあったはずなのに・・・と、見れば見るほど悔やまれました。
 段ボールの中には、ノートと教科書のほかに、ゼミ雑誌も入っていました。文芸学科では一年に一度ゼミごとに、ひとり一作以上ずつ小説・論文・詩の文芸作品を提出して、ゼミ雑誌というものを作ることになっているのです。一年生のとき、私は小説を書きました。当時の自分のような主人公を一人称で書いた私小説っぽい物語です。自分では完全に失敗作だと思っていて、これまでずっと読み返せずにいたのですが、あれから6年の歳月を経て今ようやく恐る恐る読み返してみると、思っていたほどひどくはなく、むしろ2年生や3年生のときよりもずっと本気で真剣に文章を書いている感じがして、今まで失敗作だと思い込んでいたことにショックをうけました。長いこと読み返せなかったものを、今これほどすんなり受け入れて読めたのは、その文章が優秀だからではなく、今の私にはもう書けない種類のものだったからだと思います。今の自分にはもう書けない過去の自分の文章は、うまい下手に関わらず、私にとって愛しい存在です。そのときしか書けない文章があるから、いつまでも文章をかくのはやめられません。
 それに気づけただけでも、段ボールをひっぱりだした意味はあったと、ちょっと無理やりだけど思うことにして、また再び納戸の一番奥へ仕舞いこみました。段ボールの手前には、非常用持ち出し袋がどんと置いてあります。願わくば、この袋よりも奥の段ボールを出す頻度のほうが何倍も多いですように。非常用持ち出し袋は、常に邪魔な存在でありますように。
by papiko-gokko | 2009-07-23 00:23 | Diary | Comments(0)
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