日記と短歌
by papiko
短歌1~100(2004年)
かくれんぼホントは見つけて欲しかった 遠のいていく足音を聞く


石ころを蹴飛ばすようにさようなら言えない僕を蹴飛ばしてくれ


眼球に最後の背中焼き付けて瞬きひとつ下りたシャッター


言葉など君にぶつけて壊すから上手くまるめて食べてください


じゃんけんに負けたら終わり新しい相手を探し歩くてのひら


あまりにも君の言葉は正しくて視界が歪む擦り切れていく


真実を見つけられずに泣く君に今満開の桜の花を


持て余す感情何にもなりきれず何処へも行けぬ斑な体


あかんべえ嘘をつくたび舌を出す私カラカラ干からびていく


思い出を追い越しながら転げてく急な坂道何も見えない


スーパーでカート押しつつ考える君の嫌いな野菜一覧


触れられぬ距離にいる君あやふやなタバコの煙目で追っている


木枯らしに干したパジャマのはためいて君のくしゃみを運ぶ北風


いじわるな言葉で心ねじっては搾り出している本当と嘘


一番星見つけたことを一番に伝えたい君ここにはいない


本当は向こう岸などないことを知りつつ泳ぐ君の背を追う


夕暮れの街自転車を押し歩くどこもかしこも駐輪禁止


あったかいコーヒー二人で飲みたいし忘れたフリして今日は帰ろう


温かな腕に包まれじんわりと溶けて広がるバターのように


もう朝が来る事のない君の部屋目覚まし時計わんわんと泣く


この部屋の明かりは消すね君はもう眩しい世界知りすぎている


月を投げ風をほうってしゃがみこみ土の匂いを探すアスファルト


歩くのがあなたはとても早いからどうかこの手を離さずにいて


窓の外眺めるふりして君の頬見ていた窓辺そよぐ前髪


絡まって転んでへらへら誤魔化して立ち上がるのももう面倒で


叫んだらあなたは耳を塞ぐから私は黙ってつまさき睨む


新しい言葉はいらない大好きな絵本何度も読んで聞かせて


君の名を四角い壁にぶつければベッドの隅に転がる心


遠い場所光の中で笑う人届かぬと知りただ手をふった


くだらない嘘吐き笑うその笑みが本物ならばもうそれでいい


正しさがまっすぐ脳に突き刺さる真実が目を貫いていく


黒板の文字は消されて粉になり重要事項はなんだったっけ


ブランコを揺らしてくれる手は消えて土蹴り仰ぐ夕焼けの空


首筋の匂いを嗅いで猫になる きつく巻きつき毒蛇になる


ウォークマン外せば耳に降り注ぐざわめき世界の表面の音


キスじゃない抱擁じゃない髪の毛をずっと撫でていてそれだけでいい


渾身の力で投げた言葉さえ片手で受けて軽く投げ返す


疲れた日楽しかった日悲しい日 最後は同じ 君に会いたい


平気だよ傷付かないとうそぶいて逃げた事実に傷付いている


追いかけることに疲れて眺めてた背中は角を曲がって消えた


できるだけ人を不快にせぬように生きて花屋の隅のサボテン


サイレンが常にどこかで鳴り響くこんなはずではなかったのにと


冬が過ぎ見慣れた君の上履きと下駄箱の砂明日さようなら


止め処なく爪も髪の毛も伸びるのに なぜ届かない何が足りない


穏やかな寝息にぐるぐる巻きついて私は白い無言の蚕


お風呂からあがった直後と似ためまい 君が帰った直後の部屋は


受話器から届くあなたの低音をのんびりなぞり寄り添っていく


さっぱりと大根おろしにしちゃってよ形を失くし楽になりたい


三色の変化のみ知る信号に守られている私何色


しゃがみ込みいじけたふりをしていれば全部戻ると思いたかった


君がいて朝のニュースと大あくび卵の匂いパジャマ歯磨き


吸い飽きた煙草押し潰し消すように終わった恋は思い出さない


真っ白なビールの泡に弾かれて思わず好きと声にした喉


カラフルな楽しい嘘で飾られたお子様ランチまだそれでいい


なんとなく言葉をなくし凝視するテレビの画面 目に青を刺す


がんばってでもずっこけて照れ笑い諦めひとつ噛み砕きつつ


まだ何か言い足りぬまま手をふって改札口でちぎれる心


角ばった硬い価値観擦れあい丸い地球を削って壊す


次はいつ会えるんだろう 日数を数えた指を噛んでみるけど


心配を置いてきぼりにした部屋に鍵をかけたら全部思い出


気まぐれな風に笑われ散ってゆく桜の花びらあなたにとまれ


水溜りまだ消えないで黒い雲もう少しだけこの街にいて


何度でも許し許されふざけあう外は雨降り毛布はひとつ


コーヒーと会話が消えて役割を終えた唇君にあずける


目が合って「あのね」の次を見失う気持ちが声の速度を越えて


掃除中見つけた君の忘れ物 急に部屋ごとあの日の匂い


つき刺して なめ回しては ひっぱたく もっと知りたくて やけに恐くて


思い出と呼ぶにはあまりに鮮やかで涙で薄め記憶と呼んだ


スナックを手に取る軽さで君の名を呼んで返事を食べる何度も


夕暮れの電信柱 伸びる影 夜を待つ屋根 買い物袋


強引に結んだ理屈も哲学も抱きしめられて全部ほどける


目の前の背中が背負う 私には触(さわ)れぬ世界 引き剥がしたい


ぬるい息 浮き出た鎖骨 脈の音 私と同じ君も人間


冗談の会話に本音ひと握り落としておくからそっと拾って


抱きしめて潰してほしい心臓の奥に積もった弱音ため息


飲み込めず吐き出すこともできぬまま喉の辺りでうずく感情


願わくば私あなたの腕時計 同じ空間ちくたく生きる


すんなりと私の部屋に住み着いたあなたの音色あなたのリズム


正常と異常の間すり抜けて求め続ける君の手のひら


柔らかな君の髪の毛指で撫で するりとすべて愛しさになる


へこんだり溶けたり急に尖ったりいつかいびつなコンペイトウに


トランクス鼻歌交じりで干している私はやはり恋をしている


過去を舐め未来を眺め今を泣く 防虫剤の匂いを纏い


意思持たぬ花の沈黙悲しくて水やり歌う古い童謡


否定され へちゃげた顔で なお笑う 不安踏んづけ悔しさ蹴って


満月が君のカーブを照らし出し私の影を滑り重なる


カーテンの向こうの時間今だけは忘れてふたり堕落に埋まる


春さくら 夏水しぶき 秋落ち葉 冬白い息 隣には君


もう何も聞きたくないの終わるならハサミ貸すからあなたが切って


終点がいつかあるとは思えない各駅停車の電車で眠る


無視された笑顔砂となり風に舞う誰も気づかない何も変わらない


お砂糖と卵をタルトに変えるには君のエキスが必要なのです


道端で拾った不安と退屈ではちきれそうさ胸のポケット


「あの時はごめんね」なんて さよならを なんで今更解凍するの


テーブルに忘れてあったライターの火をつけてみる熱い指先


玄関を開けて光に溶けていく君の背中を裸足で眺む


泣き虫は夜の害虫しくしくと居場所失い毒を吐き泣く


好きという言葉の軽さ単純さ持て余してはビールで濁す


帰り際君が私にくれたのは淋しさなんかじゃないはずなのに


望遠鏡のぞくあなたと顕微鏡のぞく私で何を見ようか
# by papiko-gokko | 2001-01-01 18:13 | 短歌まとめ
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はじめまして。うわのそらにお越しいただき、ありがとうございます。

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「うわのそら」は、日々の出来事や想い、好きなことなどを綴っている日記です。
文章を書くことが好きで、2004年1月からこの日記を書き始めました。
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■自己紹介■
HN:ぱぴこ
1983年4月生まれ。
夫と娘2人(2011年1月生まれと、2014年1月生まれ)の4人家族です。
在宅でテープライターしながら子育てしています。
やさしいひねくれものが好きです。


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# by papiko-gokko | 2001-01-01 00:00 | このブログについて


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