日記と短歌
by papiko
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賑やかな桜の下で冷えていくおにぎり限りあるものばかり
 窓の外には雨の降りだしそうな雲があり、あいにくの天気だねぇ、花冷えというやつだねぇ、と言い合いながらも、恋人作のおにぎりと卵焼きをお弁当につめて、花見に出かけた。来週には散っているのだから、決行するしかない。私の愛する春の象徴は、なんと儚くせわしない。
 昨日おうちに遊びにいった友達が、旦那さんと赤ちゃんと三人でちょうど自分たちと同じところへ花見に行くことが判明したので、急きょ現地で待ち合わせ、一緒にお弁当を食べることに。お弁当を食べようと落ち着いた場所で何やら派手なイベントが開かれており、花というよりはハイテンションで花と自分の写真を映しまくっているその人たちの様子を見ながら食べていた。花より花に集う人。
 寒くて長居はできなかったけれど、ともかく満開のこの時期に、ちゃんと花見にいけてよかった。これで少しは散っていくのも、寂しがらずに見送れる。
by papiko-gokko | 2008-03-30 22:53 | Diary
誕生を祝ってくれる人がいて私のままで年を重ねる
 素晴らしい土曜日。
 今日は大学時代の友達三人で遊んだ。集まるのは赤ちゃんの生まれた友達の家。三人で会えることは少ないし、赤ちゃんと遊べるのも嬉しくて、かなりご機嫌な気分で出かけて行ったら、誰かのうちで集まるときいつも可愛くて美味しいケーキを買ってきてくれる友達が、今日はなんと、誕生日のまるいケーキを買ってきてくれた。四月三日が私の誕生日なので、わざわざこうして誕生日バージョンにしてくれたのだ。そんなことをしてくれる友達がいるなんて、ドラマみたいで、happybirthdayと書かれたプレートの乗っかっている、果物たっぷりのケーキが幸せすぎて、食べる前に思わず写真をとった。こんなプレートの乗っかった誕生日ケーキはかなりひさびさだったけど、すごく嬉しいものだなぁ。祝福されている!という感じがして。もうひとりの友達がきれいに切り分けてくれて、プレートをちゃんと私にくれて、ひたすらにおいしかった。
 それに、ふたりともからプレゼントももらったのだ。
 すっかり綺麗なお姉さんになった友達からは、カバンとブラウス。私のカバンの中身がいつもぐしゃっとしているのを憂いて、たくさんポケットのある大きめので、それでいてめちゃくちゃ可愛い形のを選んでくれた。これから毎日会社に持っていこう。ブラウスは淡く涼やかな緑色で、控え目なレースが大人っぽくて、それでいて肩のところがちょっとしぼってあるのが可愛くて。これからの季節、イベントのたびに着よう。ワンピースの下に着てもいいし、ジーンズにも合いそうだ。
 お母さんになって日々工夫の生活をする友達からは、カップとエプロン。カップは、スープにもコーヒーにもつかえる形で、これがまた、可愛い。友達の食器は可愛いものばかりでいつも憧れているのだけど、まさにその子のセンスで選んでくれた感じの柄とシルエットなのだ。エプロンはリネン生地のギャルソンタイプで、ポケットに素朴な刺繍が入っている。「それをつけて、自分の好きな家事だけやればいいんだよ」という気持ちで買ってくれたのだそうだ。可愛いエプロンをつけて自分の好きな家事だけを好きなだけやる。その発想は、休日をどれだけ楽しくすることだろう。考えただけで、家事をするこが楽しみになった。魔法エプロン!
 プレゼントとケーキと赤ちゃんの匂いで体中幸せに包まれつつ、それから夜まで映画や音楽のDVDを見て過ごした。私はDVDを見ながら、赤ちゃんと遊びまくっていた。もうしっかりお座りもできるようになったその子がもう、猛烈に可愛くて。紙をビリビリやぶったり、ビニール袋をバサバサたたいたり、自分の手で音をたてることが楽しいみたいだった。髪の毛もほっぺたも足の裏もなにもかもが柔らかく、でも泣き声は大きく力強くて、こぼれる涙の大きさも大人のそれと変わらなくて、泣くのは弱いどころかすごく強い行為なんだと思いだした。かぁいかったなぁ・・・あぁぁ・・かぁいい・・自分の子供ができたら、お姉さんになったあの子に、たくさん遊んでもらおう。
 夜は友達のつくったドリアをいただいて、少しまったりしてから帰宅。ずっと楽しかった。

 お互いが大人になったからだろうか、友達との関係が、ここのところとても心地よいものになってきたなぁと思う。少し前まで、友達は自分にとって刺激と共感を与える人というイメージだった。だけど今はそういう堅苦しい理屈抜きに、ただ一緒にいる時間を過ごすだけで、嬉しく楽しい。友達に会うと、心の輪郭が整ってくる。友達と話していると、自分の内側で水分を吸い無駄に重たくなっていた些細な出来事や、肥大化していた感情が、しゅわしゅわ軽く小さくなる。なにより、自分はこんなに素敵な友達を持っているんだという感動は、私の日々をぐっと自信のあるものに変えてくれる。
 東京へでてきてよかったなぁとさえ、しみじみ思ってしまうほど、今日は素晴らしい土曜日だった。なんか、誕生日を祝ってくれる人がいて、二十五歳も私は私のままで生きていける、と、強く確信した。二十五歳も私はどこまでも私でいよう。
by papiko-gokko | 2008-03-30 01:24 | Diary
返答を見破りながら不自然な「あれ?」で始まる君の質問
 ちょっとややこしい発注書を、過去の資料など参考にしてなんとか作成しておいたら、外回りから帰ってそれを確認した担当の営業さんが、「あれ?この発注、難しいのに、よくここまでわかりましたね」と、褒めてくれた。滅多に褒めてくれたりする人じゃないから、私にとってはそれがもう、瞬間的に息を吸い込みすぎるほど嬉しくて、そのあとから小分けに吐き出しすぎるほど幸せで。
 担当の営業さんは、人に何か聞いたり確認したりするとき、はじめに「あれ?」をつける癖があり、私に向けられる「あれ?」の大半は、「あれ?ここ間違ってます」と続くので、いつの間にか私も、営業さんが「あれ?」と顔をあげたら、ぎくりと身構えるような癖がついていた。それがいきなり今日は、「あれ?」の後にまさかの褒め言葉がきたものだから、身構えたぶんだけその反動で無防備になって、ちょっと混乱すらしてスムーズな反応ができず、上擦った声で「あ、ありがとうございます」なんてつまらない言葉を返すだけで会話を終えてしまった。あぁ、もったいない。滅多にないことなのだから、もっとキラッと楽しく後を引く反応返したかったな。

 会社の帰り、半年ぶりに眼科へいき、コンタクトを作った。一日つかいすてタイプ。冬の間は乾燥して辛いのでコンタクトをお休みしていたのだけど、日曜日お花見をするのならメガネよりもコンタクトのほうがいいなぁと思い、そのことを同僚の子に話したら、すぐにコンタクトを作れるいい眼科を教えてくれたのだった。
 最近の眼科検診はハイテクで驚く。視力やら眼圧やら網膜の状態やら、検診全部が機械でウイーンシャカウィーンと、あっという間に終わった。子供のころはもっと、いろんなものを使ったり部屋を移動したり、時間もかかって大変だった気がする。一列に並べられた機械に順番に座って検査される自分は、ベルトコンベアに乗って流れていく未完成製品みたいだった。
 ハイテク機械群のおかげであっと言う間に終わったし、最終的にぴったりのコンタクトレンズが完成したから、満足。日曜は、私にぴったりのコンタクトレンズ、まばたきで湿らせながら桜を見よう。

 眼科へ寄ったから、今日は家までいつもと違う道を通って帰った。いつもと違う道には見慣れないケーキやさんがあって、営業さんに褒められコンタクトレンズもできて上機嫌だった私は、上機嫌すぎるあまりなんのお祝い事もないのにショートケーキとチーズケーキを買った。ケーキを振らないように、細かい歩幅で桜咲く川沿いの道を歩き、せせらぎに耳を傾けて気持ちよくなっていたら、道に迷った。冬道に迷うと命の危機を感じるけど、春道に迷うと、五感の危機を感じる。ぐるぐるぶわりと、簡単に次元を踏み外して超えてしまいそうな空気。
by papiko-gokko | 2008-03-27 22:27 | Diary
玄関でキスをするときつま先が子供じみても許してあげる
 日々あまり春を感じずに過ごしていることに気づいて、今日の帰り道は意識的に春を感じようと感覚をひらきながら歩いたら、とたんにめまいがするほどの春が舞いこんできた。頬にあたる緩い風も、花壇から香る土と花の匂いも、視界を横切る目覚めたばかりの小さな虫も、五分咲きぐらいの桜も、甘ったるい色に染まる夕焼け空も何もかも、ふわんふわんに満ち足りている。そうだ私は春のこの、ふわんふわんに柔らかい暖かさや眩しさが大好きなんだ。暖かさと眩しさがもたらす春独特の、ふわんふわんした気だるさも嫌いじゃない。
 これはまったくただの想像だけど、この世に生まれた時も、私の世界はこんな風に、気だるかったんじゃないかと思う。春のなか、まだよく見えない目で捉えた私の初めての世界は、素晴らしく眩しくて、同時にちょっと気だるかったんじゃないかな。あと2週間足らずで25歳。たった25年前の春に生まれた私が、もう母が私を産んだ年頃になっているとは。恐い。
by papiko-gokko | 2008-03-26 23:49 | Diary
夕焼けがきれいで花が咲きそうで僕とあいさつ交わしませんか
 朝はまぶたと気が重くて足元ばかり眺めながら歩いているし、帰るころにはどんどん日が暮れてきて景色が鮮やかじゃないから、ここ数日うまく春を感じられないままでいる。眠くても暗くても桜が咲き始めているのくらいはわかるけど、まだ、きれいとは一度も思っていない。日曜日は近所を散歩して、花見をしよう。私がてんで変わらなくても、桜はせっせと咲いてせっせと散るんだから、満開めがけて焦らねば。

 近所の肉屋の店先で、帰宅するころ毎日おじさんが焼き鳥を焼いている。小柄でお茶目で、にこやかなおじさん。引っ越して間もないころに一度だけそこで焼き鳥を買ったら、三百円のお釣りを手渡されるときに「はい、おつり300まんえん」と言われて、一緒にいた恋人とふたりして「えへへ」と思わず昭和の子供みたいな笑い方をしてしまい、そんな自分たちと新しく越してきた街の人との関係に感動したのだった。おじさんのお店からはいつも焼き鳥の焼ける美味しいにおいがするから、歩きながら無意識のうちにそちらのほうへ目がいって、それでたまにおじさんと目が合ったりなんかすると、顔を覚えてくれているのか誰にでもそうするのか、必ずニコッと笑いかけ小さく会釈してくれる。
 今日の帰り道、そのおじさんはちょうど買出しか何かだったのだろう、いつものエプロン姿で私のちょっと前をひょこひょこ歩いていて、すれ違う人ひとりひとりに、和やかな調子で「こんばんは」と挨拶していた。それまで無表情で歩いていた人も、おじさんと挨拶を交わすと同時に歩幅から指先まで和やかな様子になって、私はそんなおじさんの後ろを追い越さないように歩きながら、家族や友達以外の人とこんな自然体の挨拶を交わせる人が今自分の住む街にいるのだということを嬉しく感じた。そして、挨拶の度ちょこんと丸く曲がるおじさんの背中を眺めているうちに、あぁこの人が死んでしまったら悲しい・・・!と急に強く思い、泣きそうになった。おじさんがどんな性格なのかもどんな人生を歩んできたのかもしらないのに、ただ夕暮れに交わす挨拶を聞いただけで、その人の死を悲しめたりするものなのか。
 単純に、自分に対して自然体の挨拶をしてくれる人がこの世からひとりでも減ってしまうことを考えると悲しくなるし、それに、挨拶は、人の死に一番寄り添っている言葉のような気もする。おはよう、こんにちは、こんばんは、ただいま、おかえり、おやすみ、繰り返すけど永遠じゃないね、だけど明日もその次も続くといいよね、そんなふうに、互いに毎日教え合い確かめ合うための言葉。そうか、だから挨拶は大事なのか。今日という日に自分の生命を馴染ませるために、同じく今日を生きる人たちと自分の生命とを繋ぎあうために。私もそのうちおじさんの後ろを歩くのじゃなくて、すれ違い挨拶を交わせたらいい。あの和やかな、日暮れの群青に灯るような挨拶。

***

 最近、自分と同年代ぐらいの人が、ドラマやら歌やらスポーツやらで活躍しているのを見ると、それだけで元気づけられるようになった。学生時代は同年代の人が周りにいくらでもいたけれど、社会人になると年齢がバラバラだから、同年代でがんばっている人って、もうそれだけで無条件に愛しい。あぁ、この人もがんばってるんだなぁ私もがんばろう!と、なんのひねくれもなく思えてしまう。

 会社にいると、気持ちも言葉もどんどんどんどん縮んで一色になってしまうのだけど、今日は家に帰って、高校生男女の織り成す純愛少女漫画を読んだら元気がでた。やっぱり、私の活力の源は恋なのだな。恋すれば花も涙も美しい。はぁ、きゅんすかきゅんすか。浮気とか不倫の類は全然したくないけど(私みたいな鈍臭いのがそれをしたら、自分も周りも傷つけまくると思うから)、いつまでもいろんな人やいろんなことに恋をしていたいな。恋というよりは大抵ただの憧れだけど、片思いって楽しいから。片思いといえば新曲の稲葉さんがかっこよすぎる。公式サイト(音量注意?)でPVが流れて、あまりのかっこよさにどうしようかと思った。稲葉さんのかっこよさときたらもう不滅すぎる。はぁ、片思い楽しい。
by papiko-gokko | 2008-03-25 22:11 | Diary
消毒をなじませた手で頬をなで記憶まばゆく霞む病室
 ひとりの休日。座っていればいいのか立っていればいいのか、それすらわからなくなるほど暇だった。こんなにも退屈な休日は久し振りだった気がする。文や絵をかく気持ちにも本を読む気持ちにもなれず、かといって外に出る用事も思いつかなくて、しばらくそわそわ部屋を行ったり来たりしたのち、リビングの模様替えをすることにした。ホットカーペットをしまったり、本棚を整理したり、辞書を並べる場所を移動したり。家具を移動させたりはしていないから大きな変化はないけれど、あちこちがちょっとずつすっきりした感じ。積極的な感情を持てあましてしまった休日は、模様替えに限る。

 ユニクロで、大好きな「らんま1/2」と「うる星やつら」のTシャツをゲット。子供時代に最高のらんまごっこパートナーだった上の妹が、「今ユニクロがサンデー&マガジンとのコラボTシャツだしてて、らんまとかうる星あるよ」と教えてくれて、即ネットで購入したのだった。買ったことを報告したら、「もーまた思い込みで即行動したでしょう。そういうのは一回お店で実物見てから買わんと」とたしなめられた。らんまごっこ時代には、私の言うことをいつでも素直に聞いて遊んでいた妹が、大人になって、私をたしなめてくれるようになったのだな。なんだか嬉しい。親にはたしなめられないことを、お互いにたしなめあって生きてゆこう。
 それにしても、るーみっくファンにはたまらないTシャツだ。二枚ともラムちゃんの筒に入っていたし。あぁ、嬉しい・・・高橋留美子先生の描く人間関係、大好きです。久しぶりにらんまの漫画、読みたいなぁ。アニメも見たい。youtubeで検索したら、初期のOP曲『じゃじゃ馬にさせないで』がでてきて、懐かしすぎた。二番目ぐらいのOP曲『リトル☆デイト』も好き好き。私の腕まくり男子好きは、このオープニングの乱馬のかっこよさが原点かも。るーみっくオタクです。
by papiko-gokko | 2008-03-24 00:35 | Diary
好きという基本事項に幾つもの問いを重ねて冴えわたる恋
 勤務中、このごろ暇なときは、業務マニュアルづくりに没頭している。私のためのマニュアルではなくて、私が辞めたあと私の仕事を引き継ぐ誰かのためのマニュアル。
 就職が決まったとき、とりあえず三年間は続けるということを目標にした。あれから二年、何度となく辞めたい病を発症してはきたけれど、なんとか三年目も続けられそうだ。ただ、二年間働いてみた結果、四年目以降も今の会社で働いていこうという気持ちにはなれない。だから、あと一年ぐらいはがんばって、時期が来たらいつでもすぱっと退職を切りだせるように、今からマニュアルを作り始めている。
 今年の七月には、同じ部署の妊娠している先輩が退社するらしい。上司に昨日そのことを伝えていて、「じゃあ新しい人をいれるから、三か月前には正式に届をだしてください」というような返答を得ていた。新しい人。私たちの仕事に変わりはいくらでもいて、辞めればすぐに新しい人がくる。上司の軽い口調から垣間見えたその事実は、私の心を楽にして、同時にすごく空しくもした。二年間で必死に覚えて身につけたいろんなこと、放り投げても全然大丈夫なんだよな。
 制作中の業務マニュアルには、私が辞める時に放り投げることのできるすべてを、整理整頓して詰め込んでいる。本当にただ放り投げて辞めちゃったら、今一緒に仕事をしている他の事務員さんや営業さんに迷惑をかけてしまうから、毎日ドン臭い失敗で散々迷惑かけている皆さんに、せめて辞めるときぐらいは迷惑かけないように、今のうちから完璧なマニュアルをつくって、しっかり引き継いでから辞めたいと思う。
 マニュアルづくりは楽しい。知識ゼロのところからこれだけの仕事を覚えたんだなぁと、少しだけ誇らしくなったり、これを引き継いだら私がしなくてよくなるんだなぁと、安心しつつ寂しくもなったりして、自分の仕事を客観視することができる。私のしている仕事は、誰にでもできることかもしれないけれど、だからって、誰でもやりたがることではないさ。これは、私がやろうとしたからやれたことなんだ。あと一年、自信を持って働いて、誇りを抱いて辞めたいな。難しいけど。相変わらずアホな失敗をする私は、自信を潰されることのほうが、誇りを踏みにじられることのほうが、よっぽど多いけど、だからこそ。

***

d0038776_044855.jpg 先日春に向けて買った無地の帽子、シンプルで合わせやすいのはいいけれどあまりに無地すぎて寂しかったので、手芸好きの恋人をチョコとプリンで釣って、ちょっとした装飾を施してもらった。チロリアンテープとボタン。うん可愛い。はやくこの帽子をかぶって出かけたいな。とりあえず明日はひきこもる気満々だけど。
by papiko-gokko | 2008-03-23 00:20 | Diary
どうにでもなることばかり行儀よく悩んで何も質問はない
 連休じゃない休日は、したいことしかしたくない。今日は冷たい雨が降っていて、家で読書でもしながら過ごすつもりでいた。ところが、いざのんびり態勢に入ってみると、心の中がもやもやくろぐろ、よくない感情で飽和状態であることに気付いた。とてもゆったり読書を楽しめるような気分じゃない。こうなったらもう、発散するにはカラオケしかない。そんなわけで急きょ、雨の中出かけることにした。
 ちょうど恋人も職場の送別会があって池袋へ出るというので、池袋まで一緒に出て、少しだけ彼の買い物に付き合い、私も宇多田ヒカルのアルバムを購入し、それから彼は送別会へ、私はカラオケへ。好きな人の好きな歌を好きなだけ歌って、心ゆくまで気持ちよくなった。いつも心のなかで呟いている歌詞を声に出して歌うだけで、どうしてこんなに、心が軽やかになっていくのだろう。心のなかで呟くたび歌詞の表面に付着していった無数のモヤモヤイライラが、歌声と一緒に、外へ外へと吐き出されていく。
 二時間歌って時計をみたら七時半、恋人の送別会が終わるまであと一時間半ほどだったから、ジュンク堂書店で読書をして待つことにした。カラオケ直後のジュンク堂は格別だ。歌って心がからっぽのぶん、どんな本でも面白そうに思えて、どんどん手と目に吸いついてくる。最初の三十分はあれこれ見て回り、あとの一時間は、椅子に腰かけて若者向けの短歌論みたいな本を読んだ。勉強になる。私の短歌は、少しお行儀よくしすぎているのかな、もっと三十一文字のなかでガシャガシャ暴れてみてもいいのかな。
 一時間半後、恋人から連絡があり、池袋の駅で待ちあわす。駅で恋人の顔を見るなり、間違えて「ただいまー」と口走った自分に驚いた。外にいるとき私にとって、彼はうちの玄関みたいに見える。送別会でそれなりにお酒を飲んで酔っぱらっていた彼は、いつもより少し私に寛容で、いつもより少し仕事の愚痴を言いやすく、そしていつもよりかなり早く寝たのだった。
 彼が早々と寝たので、先ほどからひとりでゆったり宇多田ヒカルを聴いている。まずは、十年愛用中のコンポで再生。このコンポを買った高校一年生のころから、いつだって新しいCDを買ったらまず一番最初に、このコンポで聴くことになっているのだ。こういう嬉しい決まり事は、いくらでもあっていいし、いつまで続いてもいい。どの曲も素敵だけど、ほろっときたのは、『ぼくはくま(youtube)』の、「しゃべれないけど歌えるよ」という歌詞だった。そうだよ、しゃべれないけど、歌えるんだよ。だから全然大丈夫。
 歌って読んで聴いて、しっかりと心を循環させることのできた一日だった。循環させるって大事だ。何事も。滞らないように、濁らないように、循環循環。
by papiko-gokko | 2008-03-21 00:25 | Diary
パンプスのヒールが少し低かった何も崩さず君を去るには
 夢は、そこにでてきた人への心の距離を、一方的に縮めてしまう。長い時間をかけてやっと遠のいた人にも、たった一晩の夢で、いともたやすくものすごく、会いたくなってしまう。目が覚めて、嬉しいよりも恐かった。

 宇多田ヒカルをずっと聴いていたら、突然に『悲しき鉄道員(youtube動画)』が聴きたくなって、先ほどから聴いている。父と母が好きで、割と昔から聴いていた曲だ。どういう意味の歌なのか、父から何度教えられても忘れてしまうのは、最初に聞いた時から自分のなかに勝手なイメージが出来上がってしまっているからだと思う。だからもう、敢えて意味は調べず妄想を楽しもう。若い若い鉄道員の真新しい制服と、若い若い娘の大きなボストンバック。カーブする線路を挟んで揺れる若草。告げても告げなくてもかなわない恋。

***
今日詠んだ題詠短歌

妹にあげたあられの鮮やかさ おねえちゃんにはなりきれなくて (題:あられ)

あの人は冷えてもうじき向こう岸 ついたら波をひとつよこして (題:岸)

出力の用紙サイズを間違えて真面目なままではみ出していく (題:用紙)

パンプスのヒールが少し低かった何も崩さず君を去るには (題:低)
by papiko-gokko | 2008-03-19 20:39 | Diary
淡々と低い耳鳴り連れたまま紙飛行機の飛ぶ教室へ
 宇多田ヒカルの『Stay Goldyoutube』、これまでもテレビでなんとなく聴き馴染んではいたけれど、今日はじめて歌詞を見ながら聴いていたら、安心して泣きたくなった。母の子守唄で寝かしつけられているときみたいな、悲しみを含む安心感。母の声が優しければ優しいほど、まだ起きて甘えていたくて、眠ってしまうのがもっていなくて、寝かし終えた母が向こうの部屋へ行ってしまうのが寂しくて、それなのに子守唄の醸し出す安心感がゆるゆると体中をめぐり、とろんとろん眠りのなかに落ちていってしまう、あの感覚。この歌を聴いていると、なにか安心してはいけないような、安心したくないようなことに対して、安心してしまう感じがする。何度も同じ子守唄を繰り返し歌ってくれていた母の声と、私の布団をぽんぽん叩いていた手のリズムが、だんだんゆっくりになって、そしてとまる瞬間。まだ完全には寝ていないけど、でももう目を開ける力はなくて、休息。

 イチゴミルクを詰めたジャムの空きビンを、デスクの隅っこに置いて仕事をする。あっという間に大量の文具と書類に紛れ、たいして目立ちもしないそれが、誰かに何かを訴えかけるようなことはない。ただ、その可愛らしいたたずまいが、私を少し癒すだけ。なんだ、癒されたかったのか、私。いや、違う、癒されるために、わざわざ重たいガラスの瓶を、会社へ持って行ったんじゃないはず。会社では、何をやってもピンとはずれになるなぁ。

 昨日の夜から、左耳で耳鳴りがしている。変な感じだ。耳の奥のほうに、日本の夏の部屋があって、そこでボロの扇風機が回り続けているような音。たまに、誰かが襖を開けたり閉めたりして、音が変わる。そのうち蝉でも鳴き始めたらどうしよう。花火でもあがったらどうしよう。耳の奥に夏一式、発生させてしまったら大変なことだ。もしひどくなるようなら、病院へいこう。お風呂に入って寝たら治るかな。左耳は仕事で受話器をつけるほうの耳だから、ひどくなったらかなり困る。
by papiko-gokko | 2008-03-18 00:40 | Diary


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