日記と短歌
by papiko
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現実は数字に埋めて泣かなくて済む気休めを今はください
 バイトの一日。やけに忙しかったから疲れた。お客さんに接するたびに、人間のことを好きになったり、嫌いになったり、繰り返していた。優しい言葉、無表情、タバコの煙、楽しい声、下品な音、酒の臭い、お金を差し出す手の感じ、ひらいて閉じ、閉じては開く自動ドア。お客さんの一挙一動に、いちいち感情を持ってしまう。それで、ビクビクして、疲れてしまう。だんだん、「いらっしゃいませ」や「ありがとうございました」の言葉が、つまって出てこなくなってくる。
 接客は、やっぱり向いていないのだろうかなぁ。私は嫌悪感を抱いた人に、上手に笑えないし。いいなぁと思った人に対しては、不必要なぐらいニッカニカ笑えるんだけど。お客さんのこと、大好きなときもあるけど、時々吐きそうなほど大嫌いな時もある。今日も、ずっと、大好きと大嫌いの間を、心が行ったり来たりしていた。
 こんなんでも、なんとかバイトを続けることができているのは、お店の人たちが優しいからだと思う。お客さんの態度でどんなに人間を大嫌いになっても、最後はいつも、おばちゃんやお兄さんやお姉さんが、「お疲れ様」と優しい笑顔をくれるから、大好きの心で終わることが出来る。私も願わくば、人間大嫌いって思われる人間には、なりたくないなぁ。なるのかなぁ。
by papiko-gokko | 2005-01-30 23:20 | Diary
ノンフィクション君と見上げたあの桜君と見つけたあの古本屋 
 去年見上げた大きな桜の木がなくなっていたっぽいから、今日は優しくない日だった。家も桜の木もなくなって、土だけになった空き地から、桜餅の匂いがした。咲いている桜を、今年も見上げる気満々だったのに。もうちょっと待てば春だったのに。切ってしまわなければ、私が死んだ後もずっとずっと、毎年咲いていたかもしれないのに。桜の木がなかったから、今日は曲がる道を一本間違えてしまった。
 でも、みたのが夜だったから、明日見てみたら、あるかもしれない。勘違いならいいな。

  「なんなの」という言葉を、最近ことあるごとに心の中でつぶやいている。だって、なんだかもう、わけのわからないことだらけなんだ。みんなみんな、なんなの。
by papiko-gokko | 2005-01-29 23:19 | Diary
ありふれた今があふれてあたたかなあなたの腕でこぼれたあくび
 「幸せは途切れながらも続くのです」(スピッツ/スピカ)
 これは、最近とても大好きな言葉。バッチみたいに、心の斜め上のところに、いつもくっつけておきたい言葉。そうだ、途切れるけれど、続くんだ。どんな大人の言葉より、この言葉を信じよう。私は生まれてから今まで、いろんな幸せの中にいて、それは時々途切れたけれど、それでも続いてきた。始まる幸せと終わる幸せより、続いている幸せのほうが、きっと今この瞬間にたくさん、ありふれながら、あふれている。

 怖いことを言う人は嫌い。出来損ないの現実と、完全な気休めなら、完全な気休めがいい。

 見た夢。三菱鉛筆を、グラスの水に浸して、濡れたそれを、誰かに向かって思い切り投げたところで、目が覚めた。恋人に話したら、何かのメタファーといった。濡れた鉛筆と、耳たぶって、なんか雰囲気が似ている気がする。なんとなく。
by papiko-gokko | 2005-01-28 23:19 | Diary
忘れたと思ったころに夢に出て たくさん笑う君はずるいな
 最近、夢にいっぱい人がでてくる。もう忘れたと思っていたような人が、いっぱいでてくる。なんか、クラスで一緒だったけどそんなに仲が良かったわけでもなかった人とか、別に印象深かったわけでもない教師とか・・・。夢って、不思議だ。起きている間は絶対に思い出さないような人や場所を突然登場させてしまうんだから。その人が当時持っていた持ち物まで、鮮明にでてきたりするからビックリする。なんなんだろう。
 
 今日はちょっとしたことで病院にいって、待ち時間ずっとブラックジャックを読んでいた。ピノコがすんごく可愛かった。先生、愛してゆのよさって・・・可愛い・・・。あと、ドクターキリコもでてきた。ブラックジャックとはまったく逆で、重病患者を安楽死させる医者である。生き方としてはブラックジャックが好きだけど、死にそうな人をなんとか助けようとすることと、いい具合に死なせてあげることと、どっちがいいのか・・難しい問題だ・・・
「それでも私は人を治す!自分が生きるために!」
と、ブラックジャックが叫んでいて、あぁ、医者ってなんだろう・・・とか、病院の待合室で、医者について考えてしまった。病院でブラックジャックを読むというのは、なんというか、微妙な気持ちになる。ブラックジャックって、無免許医だし。
by papiko-gokko | 2005-01-27 23:18 | Diary
歯軋りで潰した声は沈殿し のどかに浮かぶ毒入り林檎
 学校のすぐ側の信号機の近くに、大きな時計のある建物がある。毎日そこをとおる時には、授業に間に合うかなぁと思って、いつもその時計をぱっと見るのだけど、その大きな時計は、随分前から、いつも何時間も狂っている。それでもついつい見てしまって、そのたびに一瞬あれ!?とびっくりし、そしてあぁそういえばこの時計は違うんだ・・・と気付く。本当に、いつまでたっても狂っているし、私もいつまでたっても見てしまう。
 あの時計はたぶん、狂っていないに違いない。きっと、あれはあれで、正しいに違いない。だってあの時計、間違っている時間を刻んでいるにしては、あまりに堂々としている。彼には、間違っている時間を刻んでいる時計のもつあの憂鬱そうな淋しい感じがない。なんだかいつも、他の時計で生きている私をあざ笑うかのように、のんびり堂々と、違う時間を刻んでいる。きっと彼は、狂っていないに違いない。
 もしかしたらあの時計は、違う国の正しい時間を刻んでいるのかなと思って、そう恋人にいったら、恋人は、それは違うよといって、なにか別の正しいことを教えてくれた。その時はそれで納得したんだけど、でも今日またあの時計をみたら、どうもやっぱり、彼は正しいとしか思えないのだ。私、あの時計の時間で生きてみたい。あの時計はいま、何時なんだろう。
 そういえば今日で学校が終わったので、当分見ない。春になって学校にいったとき、もう無くなってたら、ちょっと動揺する。
by papiko-gokko | 2005-01-24 23:18 | Diary
過去なんて霞むし日々は変わるけど せめて声だけ忘れずにいて 
 雨が雪になる瞬間を見た。自転車を漕いでいたらつめたい小雨が降ってきて、あぁこれ雪になるんじゃない・・?と思っていたら、まもなくほとりと、小さな小さな雪の粒が、私のコートの袖に落ちてきた。湿った雪で、たちまち消えてしまったけど、これがこの冬初めての東京の雪だった。

 いつも一緒に働いているお姉さんが、5月に台湾に帰っちゃうと知った。何度か日記にも書いたとおり、彼女は台湾からの留学生で、この春で正式に大学院を卒業する。台湾に帰ったら、学校の先生になるのだそうだ。それが、小さい頃からの夢だったんだって、今日話してくれた。優しい思いやりのある、いい先生になるんだろうなぁ。
 初めから、ずっと一緒には働けないんだろうとはわかっていたけれど、やっぱりとても淋しい。台湾に帰ってしまったらもう、どこかですれ違うことを期待することすらできなくなるんだ。嫌だなぁ、悲しいよ。「淋しい」って言ったら、その場で涙ぐみそうだったから、ただ一生懸命、台湾に帰ってからどうするかとか、これからのことだけ話していた。さよならしたら、きっともう会えないのかな。空や海にも国境はあるし。淋しい。
by papiko-gokko | 2005-01-23 23:17 | Diary
目を閉じて君の鼓動に沈んだら海底にすむサカナになった
 私は沈まない。二度とおぼれて沈んだりしない。もしもの時のために、たくさんの浮き輪が、所狭しと浮かべてあるし、私のプールは、そんなに広くも深くもないはずだから、大丈夫。酸素ボンベも、背中にいつも背負ってあるし。
 私のプールで遊んでもいいのは、私の好きな人だけ。嫌いな人がはいってきたら、それは規定違反なので、一旦水を全部抜かないといけない。好きな人は、プールで何をしてもいい。何を持ち込んでもいいし、絵の具をこぼしてもいいし、飛び込んでも、もぐっても、浮き輪の空気を抜いてもいい。好きな人が私のプールで遊ぶ時、私は魚になれる気がする。
by papiko-gokko | 2005-01-22 23:17 | Diary
キャンディーを噛み砕いては泣くあの子 とがって消えたでたらめな味
 うちの近くにあった、古い家が、今日ブルトーザーで壊されていた。先に気付いたのは一緒に歩いていた恋人だったのだけど、私もじわじわ驚いた。あの家には、サクラの木があった気がするのだけど、桜の木も切られてしまったんだろうか。冬の晴れた日に切られてしまうなんてイヤだ。切られていませんように。私は今住んでいる街の桜がとても好きなのだ。ゴミゴミしていてあまり綺麗とはいえない街だけど、花屋さんが多くて、春には桜もいっぱい咲いて、花には実に恵まれている街だなぁと思う。私、花とか詳しくないけど、この街の花はなんか好き。
by papiko-gokko | 2005-01-22 23:16 | Diary
頷けば私は崩れるだろうから知らないふりで空ばかり見る
 校舎の工事のため突然プレハブ校舎になり、教室を覚えられなくてイヤになっていたけれど、プレハブ校舎のでっかい窓から見える夕焼けは、なかなか悪くない。ちょうどいい場所に窓があるようで、ごっちゃりした街が夕焼け色に落ちていく感じがよく見える。壁も出来立てで真っ白だから、夕焼けの色がよく映えるのかもしれない。窓ガラス自体も新しくて、本物の透明だし。プレハブ校舎と夕焼けは、よく似合うと思う。
 なんだろう、最近、空ばかり見て歩く。たぶん理由は単純で、冬は寒いので、上を向いていないと、鼻水がでそうからだと思う。休みの日に夜ご飯を買いに出かける6時ごろ、いつもちょうどうちの玄関をあけて見上げたところに、オリオン座がある。それがなんか、あらこんばんわって感じで、すごくいい。あと、この前、冬は月が遠いと気付いた。なんか理科でその理由を習ったけど、忘れてしまった。なんか自転やら公転やら。

 ゼミを一年間休まなかったので、先生が拍手してくれた。普通に嬉しかった。他の授業は、サボってたりとかするんだけど、好きな先生や好きな内容の授業は、全部でる。だから、ゼミと現代詩と児童文学の授業はほぼ一度も休まなかったのに対し、比較文学とか編集研究とか文芸史の授業は、相当休みまくっている。つまり、極端な人間なのだと思う。

 レポートはなんとか終わらすことが出来た。あぁ、疲れた。へとへとになった。試験もあったし。
by papiko-gokko | 2005-01-21 23:16 | Diary
追憶で空に世界を描いたら いない人などどこにもいない 
 2月に祖父が手術をする。肺にガンが見つかったのだ。ガンといっても、まだまだ初期の段階だったおかげで、手術をすれば完治するらしい。だから、別にショックは受けていない。酒飲みでヘビースモーカーだったから、いつかは病気になるって覚悟していたし、初期の段階で見つかってくれて、本当によかったと思う。
 ただ、猟師で漁師であり、たったこの前まで海やら山やら駆け回っていた祖父なだけに、病院のベッドがどうにも似合わなくて、それが悲しい。ベッドの上で、禁煙パイポをちゅうちゅう吸っている姿は、なんとも言えなくて、泣きそうになってしまう。私も手術入院をしたことがあるので、手術の日を待つ病院のベッドがいかに憂鬱で怖いかは少しわかる。待つ身にとって、病院のシーツとカーテンは白すぎる。お見舞いに来た精一杯の笑顔まではじく。
 家族が病気になるって、ビー玉の転がる音ぐらいに淋しい。「君がいなくなることを始めて怖いと思った」という歌詞の意味を、わかった気がする。祖父が手術をするとわかって始めて、私は祖父がいなくなることを、心から怖いと思っている。みんないつかいなくなるけど、いなくなるのを実感するのは、やっぱり怖いよ。共有している思い出があるから、共有しているその人がいなくなってしまったら、思い出が一気に散らかってしまう。
 春休みは帰ろうかどうか迷っていた私だけど、祖父が手術をするということだから、やはり2月に4日程度一度帰ることになった。帰ったところで、何も出来ないけど、まぁ一応、やっぱり東京からでは、元気付けることもできないし。祖父はワガママで病院が嫌いなので、文句や弱音ばかり言っているらしい。つまり、心は至って健康ということである。この前実家に帰ったときにあげた出雲大社のおまもりを大事にしてくれているそうだ。きっと術後はすぐに回復するだろう。そしてまた、元気に長生きするんだろうなぁ。よいことだ
by papiko-gokko | 2005-01-19 23:15 | Diary


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