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日記と短歌


by papiko

春を待つ心メロンのように抱き冷えた日なたを足早にいく


 冷たい日向を歩きながら、しみじみと、春を恋しく思いました。ゆるんだ南風の吹き抜ける日が、待ち遠しくて仕方ありません。春がきて、命の緊張がほっと解けて、絶えずうとうと重たい瞼、ぽらぽら浮足立つ頭、のろのろ彷徨いだす心、芽吹く色をつかみたがる手、はずんだりすくんだり、落ち着きをなくす足。あぁ、待ち遠しいなぁ。冬にいるとき春はどうしてこんなにも、希望に満ちて見えるのだろう。まばゆい光あふれる遠い窓に呼びかけるような心地で、春、春、春と、繰り返しています。
 春を待ち焦がれるあまり、帰りにイチゴを買いました。形はごてごてしてあまりスマートじゃないけれど、色はとても鮮やかです。お風呂上りに、頂こう。きゅっと酸っぱいイチゴの味は、ちょうど春を待つ二月の味だ・・・と言ったら、夫がしらけて、中学生かと言いました。幾つになっても中学生の心は、失い難いものなのです。早く食べたい食べたい。

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 今日は会社で、始終イライラしていました。横切る気配のいちいちが気に障って、むわむわと悪い感情が体中に膨らんで、なんとか爆発を防ぐため、ファックスを送るたび、番号を押しながら長いため息をはいていました。何が嫌だとか誰が悪いとかではなく、今日はともかく、心身のリズムとして、そういう日なのでしょう。バカー!と声の限りに叫びながら、気絶しない程度の超高速で、落下もしくは上昇を、繰り返し続けたい気分です。東京タワーほどある巨大ブランコを、びゅわんびゅわん立ちこぎしながら、あっかんべーをするのもいいな。実に、今日は悪い想いのめぐる日。

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 お昼休みに読んだ林芙美子の随筆『恋愛の微醺』という作品に、「精神的なものがあふれて来るほど、恋愛は悲劇的でものがなしくなって来る。」という言葉があって、まったくそうだなぁ確かになぁと、物思いにふけりました。小説も随筆も素敵です。今、家では『放浪記』を読んでいるのですが、これがまたとてつもなくよくて、あぁ自分もこんな素晴らしい日記を書きたいものだ!と、胸が熱くなってきます。
 新たに作家を好きになるたび、今までなんでこの人の本を読まなかったんだろうかと、呆然として、それから、その作家の文章を知らなかったころの自分を思い出せなくなってしまいます。林芙美子にしてもそうで、もっと早く読めばよかったとも思うし、だけど今だからこそこんなに夢中になれているのだろう、とも思います。実際、これまでにも何度か読もうとしたことはあって、そのときにはまだいまいち良さをわからずすぐにやめてしまっていました。読んでおもしろくないなーと思うのは、そのときその文章を自分が必要としていないからで、うおおと夢中になるのは、ちょうどその時に必要な世界や言葉を文章中に発見できたからなのだと思います。だから、本も食べ物と同じで、一度おもしろくないと思っても、それきりにしてしまわずに、事あるごとにしつこく手を出してみたほうが、いいみたいです。
by papiko-gokko | 2009-02-02 21:52 | Diary