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日記と短歌


by papiko

臆病と思い上がりに挟まれて二〇センチの距離を維持する


 誰かといて一番ドキドキする距離は、20センチぐらいだなぁと、なんということもないきっかけで思った。20センチの距離で相手を眺めれば、ちょうどよく感覚のピントがあって、好きか嫌いかがはっきりわかりそうだ。いろんな人のことを20センチの距離で見つめてみたいけれど、誰からも、見つめられたくはないな。

 朝、駅をでると、まぶたがひるむほどまぶしい晴天。一か月前とは明らかに違う涼しく乾いた風が吹き、駅前では街頭演説に励む男性の音割れした声が「首相は・・無責任な・・任期・・放棄し・・税率・・国民を無視・・」と、急ぐ足音とエンジン音にかき消されながらも響き渡り、私のイヤホンからは宇多田ヒカルの「光」が流れはじめて、なにもかもが、夢の中のように、途切れ途切れに私の感覚のうえを通り過ぎた。体の全部が季節に向けてひらき、唇や、網膜や、前髪や、鎖骨や、ひざの裏側が、さわさわと敏感になる。季節の変わり目って、こんなにまぶしいものだったっけ。

 昨日は先輩の赤ちゃんを見に行ってきた。生まれたての赤ちゃんは、ガラス張りのお部屋のなかで、他の赤ちゃんと一緒にスヤスヤと眠っていた。どの子もお人形のように小さくて、それでいて、しっかり生えている爪やちょっとめくれている唇の皮やパンパンの足は、圧倒されるほど人間らしくて、長いこと見入っていた。人間の持つ人間らしいパーツが小さな体に集結している。成長するにつれひとつひとつが離れていって、考えることも行動も、複雑になっていくんだなぁ。
 一緒に行った人や赤ちゃんを産んだ先輩から、「次はぱぴこちゃんだよ」「がんばれ」と口々に言われて、どう答えるべきか、まごついた。まだ、式も挙げていないのに! でも実際、赤ちゃんを目の前にすると、自然と自分も欲しくなるものだなぁ。すごくすごく、可愛かった。もうじき義姉の赤ちゃんも生まれるし、地元の友達が二人目を出産予定らしい。そして去年生まれた赤ちゃんたちは、ぞくぞくと一歳のお誕生日を迎えていく。生まれる命、育つ命。それをこうして目の当たりにできる、大人になった私の時間。
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by papiko-gokko | 2008-09-12 20:29 | Diary | Comments(0)