日記と短歌
by papiko
夕焼けは待ってくれない君だけに見せたいものを今見つけたよ
 最近どいうわけか、隣人と洗濯物を取り込むタイミングがかぶって気まずい。衝立があるのでお互いの姿は見えないのだが、サッシを開ける音とか、洗濯物とハンガーのカチカチバサバサ擦れ合う音が聞こえるので、お互いが同時に何をし始めたのかは、考えなくてもわかる。
 不思議な現象だ。夏は他の季節に較べて、日暮れの瞬間がわかりやすいのだろうか。眩しさがフワっと傾いて緩まる瞬間が、家の窓にもフワっと伝わってくるから、同じ向きの窓を持つ私と隣人は、「あぁ日が暮れたなぁそろそろ取り入れるとするかぁ」と、同じ瞬間に思ってしまうのかもしれない。そうとなると、ますます気まずい、気恥ずかしい。もじもじする。そんなことを思っているのは、自意識過剰な私のほうだけな気もするが。
 今日も顔すら知らない隣人と同時に気まずい思いで洗濯物を取り入れながら、物干し竿の向こうに広がる夕焼け空に感動していた。夜空一歩手前の濃い青空と、夕日に染まった桃色雲のコントラストが、ニスで固めてしまいたいほど綺麗だった。蚊が入ってくるのを気にするのも忘れて、長いこと窓を開けたまま見とれていた。隣人も、同じ夕焼けに見とれたのだろうか。
 しばらく見とれたのち、こんなに綺麗な夕焼けならば出かけよう!と、急遽出かけることにして、トイレにいき、払わなきゃいけない公共料金の請求書を探したりIPodを探したりメガネを探したり帽子を探したりそれらをつっこむカバンを探したりして、準備を整え外にでたら、もう夕焼けが終わっていた。残念すぎる。夕焼けは、何が見つからなくても待ってくれない。残念な思いで空を見上げながら曲がり角をひとつまがったら、高架の上空に、ぽそりと月がでていた。先日、秋から住むかもしれない街で見たときの月より、いくらか丸みを帯びていて、ますます優しげだった。
 やがて高架を電車が走って猛スピードで月を隠したので、それ以降は空を見上げることをすっかり忘れて、公共料金の計算に夢中になって歩いていたら、吉本新喜劇ぐらいクッキリ派手につまずいた。その影響で今も腰と爪がいたい。どうせつまずくのなら、計算に気をとられながらじゃなく、月に見とれながらつまずきたかった。

***

 地元のプールで水死事故があったり、いつも帰省のたびに乗っている「特急やくも」という電車で事故があって死者がでたり、全国ニュースで地元の悲しい事故を立て続けに知った。事故の内容もショックだったし、それに、全国ニュースで地元の事件が報道されたことに、なんだか傷ついた。出雲空港に東京からどかどか報道陣が降り立ったのかと思うと、たまらなくって鳥肌が立った。どうかどうか彼らにあちこち映され痛めつけられませんようにと、切に願った。
 私は東京を好きだけれど、東京でどんな痛ましい事件事故が起こっても、どんな報道をしていても、傷ついたりはしない。怖いなぁ酷いなぁ気をつけなきゃなぁとは思っても、東京を痛めつけるなとは、これっぽっちも思わない。東京に憧れ住み続けていながら、私の心が繋がっている場所は、出雲なんだと気付いた。

***

 恋人と小説の趣味はあまりあわないのだが、漫画の趣味はとてもあうようで、彼がおもしろいといった漫画はいつも私を虜にする。ギャグ漫画も恋愛漫画も、どんぴしゃでツボに嵌る。笑いときゅんきゅんのセンサーが同じ仕様なのか。最近特に彼がどんどん漫画を仕入れてくるようになり、おかげで私も素晴らしい漫画満喫ライフを送ることができている。漫画最高。
 今日は、恋人が昨日仕入れてきた業田良家『ゴーダ哲学堂』という漫画を読んだ。これはギャグ漫画でも恋愛漫画でもなく、「人生に意味はあるのか」をテーマにした人間ドラマっぽい短編集で、ちょっと重たい内容なのだけど面白い。人間の醜さやせこさがえぐいほど描かれていたり、かと思えば人間の優しさや温かさも描かれていて、読めば読むほど、人として生きていくことが嬉しくも哀しくもなる。このどうしようもない人の世を、憎くも愛しくも感じる。人間愛、人間臭さ、人間味。この世に生まれ生きてやがて死ぬことは、どういうことなのでしょう。どの程度のことなのでしょう。それは綺麗なことでしょうか。それとも怖いことでしょうか。
 ゴーダ哲学堂という題名なだけあって、かなり哲学の世界入ってる感じがしたけれど、最後まで味わえた。大学時代一般教養で習った哲学は、意味不明理解不能すぎて始終ぽかーんとしていたし(教授が繰り返し用いていた『アガペー』という言葉しか記憶に残っていない)、哲学書を読みふけったことのある人になりたくて図書館でニーチェとか開いてみたものの数分で無理だと悟って閉じたりしたけど、そんな私にも、この漫画の哲学は、身近な感覚で味わうことができた。
 哲学者になるためには、たぶん、ひとつのことをものすごくものすごく考えなければならないのだろうなぁと。私は、あまりにもわからないことが目の前に現れたら、泣くか怒るか笑うかして誤魔化し、そのまま逃げてしまうから、哲学者になれない。哲学者になって、この頭で解ってみたいことは、いろいろとあるんだけどなぁ。
by papiko-gokko | 2007-08-25 22:06 | Diary | Comments(0)
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