日記と短歌
by papiko
安心な僕らは旅に出ようぜ
 愛したいと、受け入れたいと思いながら、世界を見ている。それゆえに、愛せない、受け入れられないものを、見つけて拒絶してしまう。本当にすべてを愛したいのなら、受け入れたいのなら、なにも見つめなければいいのかもしれない。見つめれば、見つめたぶんだけ醜い部分に気づいてしまって、もしかしたら最終的に、なにひとつとして愛せなくなるかもしれない。目を閉じて、それでもなお愛せずにはいられないものだけを愛すれば、それで十分心は満たされる。世界を狭めて、どこまでも狭めて、君と私と彼らだけの世界。チョコとグラタンとカレーライスと。

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 ちょっとだけバタバタした一日でした。午前中は家のことをして、午後には郵便局にいったり、写真屋さんにいったりしました。それから、引越しの見積もりのことやら、引っ越した後のNTTの工事とのことやら、電話でいろいろ予約しました。明日、引越しの見積もりをしてもらう予定です。
 夜には、ほんの一時間ほどだけど、バイト先のお蕎麦屋さんのお兄さんとお酒を飲みました。昨日がお仕事最後の日だったので。アロエはちみつサワーというのを飲んだら、とってもおいしかったです。かき混ぜるやつがついていて、それをストローかと思って吸ってしまい、ちょっと切なかったけど。短い時間でしたが、お兄さんの大学時代の話とかいろいろきけて、楽しかったです。曰く、私ぐらいの年齢のころが、一番物事を考えることのできる時間。確かに、そうかも。高校時代よりもずっと、いろんなことを考えて悩んで、いろんな方向から傷ついたり、発見したりした気がします。それに、こっちにきてからでできた友だちとは、本当に腹を割って話ができる感じがします。大学の授業自体には、正直そこまで魅力を感じなかったけれど、この4年間で出会って好きになった人たちは、みんなラブ。それが一番、今の私が親に誇れることかもしれないな。いつも私の好きな人たちの話をすると、母は他のどんな出来事の話より嬉しい顔をする。

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 江国香織「神様のボート」を読んだ。おもしろかったー。引越し前に読むのに、ちょうど最適な本だったかも。
 「いついか必ず探し出すから」と言い残してどこかへ消えてしまった愛する「あの人」との約束を信じ、待ち続ける葉子と、男性と葉子との子どもである草子の物語。葉子は、「私はあのひとのいない場所になじむわけにはいかないのだ。そこは私のいる場所ではないから。」という理由で、住む場所を定めず引っ越しを繰り返し、引っ越した先に馴染もうとはせず、馴染みそうになるとまたすぐ引越しをする。それにふりまわされて転校ばかりさせられていた草子は、やがて大人になり、母から離れていき、そのことで、物語は大きく揺らぐ。
 葉子の気持ちも草子の気持ちも、なんだかよくわかった。私も転勤族の子だし、その他のいろんな理由などで、一応島根に実家はあっても、5年以上長く同じ家に住んだことがないから。だから、馴染むのが怖いという葉子の気持ちも分かるし、転校に嫌気がさす草子の気持ちもわかる。ひとつの場所に馴染むのは怖いことだ。馴染んでしまえば、別れられなくなるから、別れることがすごく辛いことになるから。馴染む前に引っ越してしまえば、色を持たない風でいられる。軽くてなんでもない存在でいられる。だけど、それは同時に、とても寂しいことでもあって。忘れられるということで。
 転校のたびにすべてが新しくなることに、草子はだんだんいやけがさしてくる。確かに、転校は疲れる。とにかく疲れる。親の都合でばんばん転校させられたんじゃ、身が持たない。みんなと違うリコーダーの色、みんなと違う体操服、みんなと違う絵の具道具、みんなと違うじゃんけんぽん。私だけが知らないルールや、先生のあだなや、去年の思い出。引越しは好きだけど、いつだって転校は好きじゃなかった。転校するたびに、自分が折れ曲がっていく感じがして。きっと、私が草子でも、葉子のもとを離れただろう。
 草子が離れてからも、葉子は、「あの人」を信じ、待ち続けた。恋は盲目とは、よくいったもので。その恋が予定外であればあるほどに、人はのめりこんでしまうものなのかもしれない。草子にとって葉子の「あの人」に対する思いは狂気にもうつったけど、葉子にとってはそれが、あたりまえのことだった。それが恋というものなのだろう。はたからみれば狂気じみたことを、あたりまえに口走ることができる、行動にうつすことができる。信じようのないことでも、信じてしまう。信じずにはいられない、待たずにはいられない、好きでいずにはいられない。
 うん、おもしろかった。江国香織はいいなー。文章から漂ってくる世界観を、ただ感じればいい。それだけで十分はいりこめる、酔ってしまえる。すごいと思う。
by papiko-gokko | 2006-02-27 01:25 | Diary | Comments(0)
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