日記と短歌
by papiko
降り続く雨がすべてを懐かしくする庭先に濡れるコスモス
 昨日会社で飲む用に買ったホットココアを、さっそく今日から入れて飲みはじめました。一口すすったとたん、夏の間にすっかり忘れていた冬の感覚が舞い戻り、去年の冬会社でつかっていた、ミニ電気ストーブやミニ加湿器やひざかけの感触が、もうそこにあるみたいに蘇ってきました。そうだった、冬はたくさんのものをつかって、自分を温めて、包んで守って暮らすのだったっけ。
 会社には牛乳がないので、いつもお湯でつくります。お湯でつくるホットココアは、出雲の祖母がつくってくれるホットココアの味です。祖母は元気だったころ、それまでどんなにバタバタしていても(なにしろ落ち着きがなく、常にバタバタしているような祖母でした)、必ず10時と3時きっかりにお茶を飲みました。そしてその時には必ず、「たばこさや(出雲弁で、お茶にしよう、休憩しようの意)」と、2階にいる私たちにも声をかけるのです。こっちの事情にお構いなしに必ず10時と3時なものだから、結構煩わしかったりもして、特に大きくなってからは「今まだ、いらんわぁ」と断ることもしょっちゅうでした。大人はみんなコーヒーで、あまりコーヒーを飲まない私や妹は、夏には林檎ジュースかオレンジジュース、冬にはホットココアと決まっていました(ただ、そういえば下の妹だけは、年がら年中、梅茶をつくってもらっていました)。祖母の冷蔵庫には牛乳がなく、だから、ホットココアはいつも、お湯でつくった、甘ったるいものでした。なにかと忙しがっていた私たちは、それをさっさと冷ましてさっさと飲んで、さっさとまた二階にあがりました。
 だから、お湯のホットココアを飲むたびに、祖母と過ごした10時と3時を思い出します。そして、あぁ断らずにもっと一緒に飲めばよかった、さっさと切り上げずにゆっくり話をしたらよかったと、今更どうしようもないことを考えます。祖母が意識を失くしてもうすぐ4年、悲しいとか辛いとかいった感情は、月日と共に意識の深い深いところへ沈んでいってもう浮かんでこなくなったけれど、その代わり、これまで経験したことのないような、くらくらするほどの強烈な懐かしさを感じます。コタツの柄や腕の感じや口元やエプロン、それらが華吹雪みたいに目茶苦茶な順序と勢いで意識のうえを舞っていきます。あまりに強いその感覚は、懐かしさを感じるというより、懐かしさを背負う、といったほうが、しっくりくるような気がします。もう戻らない人の懐かしさは、背負っていかなくちゃいけないのか。知らんかったわおばあちゃん。
 最初はホットココアと冬のことを書くつもりだったのに、ほとんど祖母の話になってしまったなぁ。秋という季節のせいか、祖母のことに限らず、ちょっとしたきっかけで、そばにいない人のことを、しきりに思い出します。寒いと寂しい気持ちが増すから、これからは、あたたかくあたたかくして、過ごさなくては。今週末から、冬の準備をはじめよう。
by papiko-gokko | 2009-10-02 00:55 | Diary | Comments(0)
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